昨年末、旧統一教会幹部らが韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁に向けて作成したとされる内部文書「TM特別報告」(True Mother=真のお母さんの略)が外部に流出し、全国紙『ハンギョレ』など韓国メディアが報じている。流出した文書は2017年〜2023年のもので、3212ページに及ぶ。
韓国の調査報道独立メディア「ニュース打破」は「統一教会ゲート」と名づけチームを作り、4ヶ月間かけて特に政治との癒着について取材を続けている。ニュース打破は「TM特別報告」を入手し、詳細に分析した内容を1月22日から連日報道している。
ニュース打破など、韓国メディアの報道によると、「TM特別報告」は、政界工作で核心的な役割を担ったとされる旧統一教会No.2の尹鍈鎬(ユン・ヨンホ)元世界本部本部長が韓鶴子総裁に報告するために作成したと言われている。具体的には、各国責任者と地区単位組織が尹元本部長に主要懸案を報告し、尹元本部長がそれを選別・要約して「特別報告」にまとめたとみられる。
「TM特別報告」については信憑性を裏づける証言が、政治資金法違反など罪に問われている韓鶴子総裁の刑事裁判で相次いで出ている。
例えば、今年1月13日、裁判の証人であるパク某氏統一教会5地区長は、「TM特別報告」の元になる「書簡」に出てくる文章は自分が作成したと認めた。昨年12月1日には、統一教会の元関係者ソ某氏は「海外報告を尹元本部長に伝えると、それを尹元本部長が韓鶴子総裁に報告した」と証言している。
ニュース打破によると、このTM特別報告が裁判の核心となる証拠で、捜査機関が重視していることから重要視し集中的に分析し、報道したという。
統一教会「TM文書」大解剖①「政治指導者を養育している」
ニュース打破は、旧統一教会が尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領と最大野党「国民の力」の権性東(クォン・ソンドン)国会議員、安倍晋三元首相など国内外の政治家らといかに接触し、管理したかについて「TM報告書」の記載内容を調べている。
・「TM特別報告」には、ユン・ヨンホ元世界本部長が尹錫悦前大統領当選直後、大統領職引受委員会事務所を訪問した当時の状況が詳細に書かれている。

・報告書には「国民の力」だけでなく与党「共に民主党」の政治家も登場する。旧統一教会が政党を超えて政治家を管理してきた可能性があることを明らかにしている。
・「TM特別報告」には、韓国より日本の政治家の名前の方が頻繁に登場する。日本の旧統一教会と自民党の間の選挙協力関係が鮮明に記されている。また、選挙支援の方法が具体的に書かれており、旧統一教会の信者たちを動員して電話で支持を説得し、青年組織を派遣するなど自民党候補を助けていたという記述も出ている。選挙後には、後援会を開いたり、政治家たちを旧統一教会に招待したりして関係を続けたという説明も出ている。
旧統一教会の徳野英治元会長が2021年12月の報告で「私たちが支援した国会議員数が自民党だけで290人に達する」と明らかにしている記録も見られる。
統一教会「TM文書」大解剖②「特別予算:北と大統領選挙(500)」
旧統一教会が信者たちの献金による教団資金をどこでどのように使ったのかなどを分析。 2022年韓国大統領選挙を控えて編成されたと見られる特別予算、海外の首脳ら招待のために検討された数億ウォン規模の費用、自民党の政治家たちと議論したODA事業構想など旧統一教会の資金運用について「TM特別報告」に書かれていることを報じている。
統一教会「TM文書」大解剖③「韓国メディア37人日本招待、海底トンネル訪問」
「TM特別報告」には旧統一教会が所有する総合日刊紙『世界日報』を情報収集の窓口とし、政界との接点を広げるルートとして活用しようとした状況も書かれている。政界の動きの報告の一方で、政治家たちとの出会いと交流の過程が細かく記録されていることを報じている。
ニュース打破は3本の記事全てに、旧統一教会側の次のような主張も掲載している。
旧統一教会側は「TM報告書」の信憑性を全面否定し、尹鍈鎬本人に不利な部分は削除されたと主張しているという。例えば、高市早苗首相の出身地が「神奈川」と書かれているが、実際に日本から送られてきた報告書には「奈良」とあった点などを挙げ、尹鍈鎬らが個人参考用に作成した文書であるとしている。1月16日の旧統一教会の報道資料では「尹元本部長が当初5,000ページを超える資料を検察に提出すると説明したが、現在知られている文書は約3,000ページに過ぎない」として、客観性がないと主張した。
ニュース打破の「統一教会ゲート」取材チームの朴鐘華(パク・ジョンファ)PD(プロデューサー)によると、「TM特別報告」は日付が空いている部分があるなど、誰かがある意図を持って編集して流出した可能性もあるという。この文書については、以上の点を留意しながら、慎重に精査を進めなければならないだろう。
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