外国人との共生を目指す市民団体などで作る「ヘイトにNO! 全国キャンペーン」が6月18日、首相と衆参両院議長あてに14万筆あまりの署名を提出しました。この日は国連の「ヘイトスピーチと闘う国際デー」。同キャンペーンは21日(日)午後4時から、国会正門前で「ヘイトにNO!」アクションを行う予定です。
高市首相自らヘイトスピーチに反対を
NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)など11の団体が呼びかけて2月11日に署名活動を開始。6月18日までに14万628筆を集め、法務省人権擁護局に提出しました。
署名の柱は次の4点です。
1)高市早苗首相みずからがヘイトスピーチに反対することを明言してください
2)差別を禁止する法律をつくってください
3)日本が加盟している国際人権諸条約に基づき、日本に暮らす外国人の人権が守られる制度にしてください
4)外国人労働者に差別なく労働法を適用してください
解消法から10年、未だに続く差別
署名を提出したのは超党派の国会議員で作る「包括的差別撤廃法を求める議員連盟」。有田芳生衆院議員は「ヘイトスピーチ解消法が制定されてから10年が経ったが、未だに差別的な言説が広がっている」と憂慮の念を示しました。
ラサール石井参院議員は「先日ある集会で動画を見た」と述べました。動画では埼玉県川口市でクルド人たちが集会をしているところに、同県蕨市から主婦がやってきて、「クルド人はゴキブリだ」と大きな声で発言していたといいます。ラサール氏は「彼女には想像力が欠けている。明日、自分がゴキブリと呼ばれる可能性があるということに思いが至っていない。差別をしないということは自分が嫌だと思うことを人にしない、自分が認めてほしいことを人にも認めるというただそれだけのこと。人間は差別をしてしまう。だからこそ厳しく自分を律しないと差別はなくならない。常に私は差別しているのではと意識しながら、差別のない国、世界を作っていきたい」と訴えました。
福島瑞穂参院議員は「外国人から『どんどん住みにくくなってきた』、『生きづらい』という話を聴く」と現状をとらえています。
「外国人が店を構える際の経営・管理ビザの資本金の下限が500万円から3000万円に引き上げられ、法務省が不法滞在者ゼロプランを掲げている。ホテルに宿泊する際も特別永住者であっても外国人登録証を見せろとか、アルファベットで名前を書けとか、前よりもさらにさらに生きづらくなっているという声を毎日聴いている」
外国人の排除は持続可能性を削ぐ
弁護士でもある打越さく良参議院議員は「差別のターゲットになる方たちに寄り添いたい。少数派の声を聴かない政治でいいのか。差別を受け、声を上げにくい人に向き合うことこそ政治の責任なのではないか。昨年の参院選以降、マイノリティを差別する声がより大きくなってきている。外国人に関するルールを厳しくして、排除に向かっている。外国人を排除すれば社会は持続可能にならない。国益に反していると言わざるを得ない事態だ」と訴えました。
高木まり参院議員は埼玉県選出で、地元にはクルド人が多く住んでいます。
「生活習慣の違いやルールの理解など難しさはある。でも、意思疎通、相互理解の前に差別してしまうと問題は解消しない。議員になる前は、国会は人権を大切にしてくれると思っていたが、現状は人権を『文句』と捉える意見が多数派。どんな人も人権を大切にされる、ヘイトを許さない世界を目指してがんばっていきたい」
高良沙哉参院議員は「人権侵害的な言説の方が大きくなっている現実の中で、(署名した)14万もの良心が集まっていることに感動している。日本は単一民族国家であるかのような装いで少数者の人権を保障していない。憲法上の大きな争点、問題だ」と指摘しました。

街頭スタンディングで実感した「声なき声」
移住連共同代表理事の鳥井一平さんは「ヘイトにNO!キャンペーン」で街頭に立った経験から「官製ヘイトとでもいうべき『外国人在留資格厳格化』という差別、いじめが横行している。でもそれは実はそんなに大きな声ではないのではないか、と実感している」と話し始めました。街頭のスタンディングでは、若い世代が一緒に差別に反対し、通り過ぎる外国人からも応援のジェスチャーが見られたといいます。外国人に関する風説を「本当か」と確かめる人の姿も目立ちました。
排外主義が顕在化した昨年夏以降も、外国人の集住地域をはじめ、各地域で日本人によるボランティアの日本語教師など様々な活動が続いています。
「穏やかで静かな活動。それに対して、ヘイトスピーチは激烈な、一人で1000回も人を傷つけるような、表現するのがはばかられる言葉を使ってやっている。あたかもその声が大きいように見える」
そして署名の意義を「ヘイトの対極にある声なき声を形にする」ことだとしました。
「ヘイトには明日がない。ところが、このヘイトに惑わされて政府や行政が(非正規滞在者の)通報制度など、いじめの制度を作っている。それは明日をつくらない。私たちの明日は、一人も取り残されることのない社会。よりよい多文化共生社会というのが一つの道筋であるはずだ」

ヘイトスピーチ解消法に罰則と禁止規定を
外国人人権連絡会の師岡康子弁護士は考え方の補助線として「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」を取り上げました。
「川崎市ではヘイトスピーチができなくなっている。差別事件があれば、川崎市長が批判するコメントを出す。ふれあい館のような差別をなくす施設もある。共に生きる社会をつくっている。是非、国の方も(同様の措置を)実現していただきたい」
超党派議連は今後、ヘイトスピーチ解消法に罰則規定と禁止規定を盛り込んだ改正案を作成。法務省が今年度に予定しているヘイトスピーチに関する実態調査の結果集約に合わせ、国会に上程する意向です。
記者会見で来春の統一地方選を念頭に「選挙におけるヘイトスピーチ規制の必要性」について問われた鳥井氏は「今回の署名提出と6月21日の国会前アクションをはじめとして、統一地方選に向けた取り組みを作っていきたい」と話しました。

6月21日、国会前アクション
6月21日の国会正門前アクションは16時〜17時30分。呼びかけ文には次のように書かれています。
外国人へのヘイト、差別をあおるデマや嘘がネットや街頭で大きくなっています。
そして政府は、永住資格や帰化を難しくする「厳格化」や在留資格「経営・管理」の基準を資本金500万円から3000万円に引き上げるなどという根拠のない施策を続けています。
また、外国人全体に関わる在留資格の手続手数料をケタ違いに引き上げようとしています。政策で差別をあおる官製ヘイトです。この社会で暮らす外国人は日常の平穏を脅かされ、不安にさいなまれています。心ならずも出国を余儀なくされた家族もいます。
この社会は外国人も一緒になってつくられていることは多くの人々が知っています。外国人は隣人であり、同僚です。地域の、そして職場の担い手です。
ともに声を上げましょう。「ヘイトにNO!」と。
私たち一人ひとりが、よりよい多民族・多文化共生社会を、人権や労働者の権利が尊重される社会を、差別のない社会を、多様性を認め合う社会を、違いを尊重しあい誰ひとり取り残されることのない社会を求めている、その意思を形にしましょう。
ぜひ国会前アクションに集まってください!

