追加給付受けないまま、最高裁判決後に25人が死亡 いのちのとりで訴訟の原告らが厚労省に早期支給や周知徹底を要望

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生活保護費の減額は違法という最高裁判決を受けて追加給付。もらえないまま亡くなった人も。

2013年からの生活保護費の減額について、最高裁が「違法」との判決を出したことを受け、今年3月から差額の追加給付が順次、始まっています。しかしなお、高裁で裁判が継続している原告らに対し、国は「確定判決が出るまで追加給付をしない」との方針を堅持し、原告の中には追加給付を受けないまま亡くなる人が相次いでいます。即時の追加給付を求め、「いのちのとりで訴訟」の原告、弁護士らが6月24日、厚生労働省に要請行動を行いました。

原告の4分の1以上が給付を受けずに死去

全国の生活保護減額違法訴訟の当事者、支援者らでつくる「いのちのとりで裁判全国アクション」によると、2014年から18年にかけて提訴。全国31の裁判体で争われ、原告はピーク時に1022人を数えました。このうち2025年6月27日の最高裁判決までに253人が亡くなりました。さらに、判決確定後も厚労省が専門家会議を開くなどして、減額分の支給を引き延ばしたため、給付を受けられずに亡くなった原告は25人。原告全体の4分の1以上が給付を受けずにこの世を去りました。

最高裁判決後、14の高裁判決がいずれも原告勝訴で確定し、6月24日も東京高裁で原告勝訴の判決が出ました。一方、まだ判決が確定していない裁判が16あります。

厚労省交渉後に記者会見する原告、弁護団ら=東京都千代田区

大阪訴訟原告代理人の小久保哲郎弁護士は「追加給付の処分決定が出た日に生きていないと給付が受けられない。最高裁判決は統一見解なので、今後の判決で国が負けることは明らか。速やかに判決を確定させてほしいと要望したが、厚労省は『関係省庁と協議する』という従前の見解から一歩も前に進まなかった」と話しました。

東京新生存権訴訟の支援者によると東京都青梅市の原告4人のうち、3人が亡くなっています。うち2人は、最高裁判決後の昨年12月と今年6月20日に亡くなりました。

「一体いつ給付が受けられるのか、福祉事務所に聞きに行ったら、8月の上旬という返事だった。大変な生活を送っている中で、利用者は給付を楽しみにしていた。原告、非原告に早急に平等に給付してほしい」と無念の思いを表しました。

厚労省には周知や速やかな給付の義務がある

そして、現状でも広報の不足や手続きの煩雑さにより給付を受ける権利を十分に行使できない人がいます。

全国アクションが上野賢一郎厚労相あてに提出した要求書では、次のことを求めています。

①保護廃止された世帯を対象としたテレビ・ラジオ等による徹底した広報
②保護廃止された者による申出手続の簡素化と費用や手続きの援助制度の構築
③「追加給付」であることがわかる決定通知書書式の利用
④虐待等による出身世帯を離脱した者に対する追加給付

このうち②では、追加給付の申請にあたり、顔写真付きの本人確認書類、全世帯員の戸籍謄本の写しなどが必須とされています。当事者には、これらの書類を用意するのが難しい人もいます。また戸籍謄本の写しを取るための費用は、本人負担となっています。④について、厚労省は世帯単位での給付を前提としているため、個人支給分を分離して計算できないとしています。

いのちのとりで全国アクション共同代表の尾藤廣喜弁護士は「最高裁判決により利用者は追加給付を受ける権利を持っている。敗訴した厚労省には全ての人に情報を届け、速やかに給付する義務がある。手続きを簡素化し、事務経費は厚労省が全額持つのが当たり前。世帯単位の給付であっても、夫婦世帯の一方が死亡した場合は単身で計算し直している。DVや虐待についてはできないというのはおかしい」と指摘しました。

尾藤廣喜弁護士(左)と小久保哲郎弁護士=東京都千代田区

国は本当に大変な日々の生活状況を考慮してくれない

支援団体が5月14日に開いた審査請求ホットラインには、385件の相談がありました。追加給付をすでに受け取った人は5件のみ、312件が未受領でした。

国への要望では「全額補償してほしい」が107件、「手続きが煩雑、わかりにくい」が57件、「原告と非原告を差別するのはおかしい」55件、「広報が不十分」が42件。

相談事例にはDVや虐待を伴うケースもありました。

「母からDV被害を受け、1年前に他県へ転居した。追加支給が全部元の世帯主に行くのが納得できない」

「2013年から父と生活保護利用していたが、父からの虐待で現在は接触禁止となっている。追加給付が父に行くのが納得できない」

「父母・きょうだいで生保利用していたが、父のDVで別居・離婚。追加給付分が父のところに行くのが納得できない」

また保護費の低さを訴える声も多く届いています。

「物価高なのに、生活扶助基準が上がらないのは非現実的」

「食べていくだけで精一杯。扶助費を上げてほしい」

「物価高騰のなか友人と食材を一括購入して一緒に調理するなどの節約を重ねて何とか生活を維持している。国は、本当に大変な日々の生活状況を全然考慮してくれていない」

「物価高できつい。(米国とイランの)戦争でもっと上がるのが心配です」