最大震度7を記録した熊本地震から2日目の30日。県外から入った災害支援団体が活動を始めた。現地のニーズは何か、話を聴いた。
避難所の学校体育館に冷房なし
認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF、東京都千代田区)は7月29日夜に熊本市入りし、30日は宇城市、氷川町、八代市の各行政機関と、八代市内の避難所を回った。広報の森山俊輔さんによると、避難所になっている八代市立鏡小学校の体育館では停電から復旧したものの冷房の設置がなく、大型の扇風機を回しても温風が吹き付けるだけで、サウナ状態だった。
市の説明では、ここには30世帯80人が避難、森山さんが訪れた午後6時には30−40人の姿が見られた。当初は体育館マットを布団代わりにしていたが足りなくなり、薄いゴザやブルーシートを体育館の床に直に敷いて、その上に寝ている人が多かったという。
「背中が痛いという声を多く聞いた。食料が定期的に来ず、個人の寄付を都度配っている。29日はレトルトパックでしのぎ、30日夕になって初めておにぎりが配られたと聞いた」(森山さん)
トイレは学校プールに併設された屋外トイレを使用。流すためにプールの水を使っているが衛生的に課題がある。
体育館にはパーテーションがない上、暑さ対策でドアは開けっぱなし。蚊がひっきりなしに入ってくる。
ガソリン不足で車中泊も困難に
森山さんは、車中泊をあきらめて体育館に来た住民にも話を聞いた。「エンジンを切ると暑い。ガソリンもなくなり冷房が効かず、車中泊は限界だと思って避難所に来た」と話した。
多くの人が余震を恐れて、家の片付けに取りかかれていない。
市内にはライフラインが復活してエアコンが効いている避難所もあるが、被災者は停電の影響などでスマホの充電ができず情報も十分に取れてない。どの避難所に冷房や水があるか判断しかねる状況にある。
森山さんが気になったのは、水分摂取を我慢する人たちだ。避難所に行かずに自宅にとどまっている人に話を聞くと「自宅のトイレが壊れている。最寄りの公民館のトイレを使わせてもらっているが、遠慮があり水をなるべく飲まないようにしている」などと話した。

冷房のついた教室を一部で開放
阪神淡路大震災から30年以上の災害支援経験がある被災地NGO恊働センター(神戸市兵庫区)のメンバーは30日朝、フェリーで現地入りした。
増島智子さんは八代市の在宅被災者を訪問した。2020年の水害でも被災。今回は発災から2日間、ライフラインの途絶に伴い長崎市に避難していたという。30日午後になって、70代の父と50代の娘が八代の自宅に戻り、家の中を片付けようとしていた。
「仏壇を起こすのだけ、手伝って」と言われ、家の中に入り仏壇を起こした。31日以降も家財の片付けを手伝う予定だ。
増島さんらはその後、八代市鏡地区の断水の団地に持参した水を配布した。電気は復旧したが、ガスはまだで住民はカセットコンロで調理していた。カセットボンベを渡したところ、「カップラーメンばかり食べている、米粒を食べたい」という要望を聞いた。
市のボランティアセンターもまだ立ち上がっていない。公共施設の被害が大きく、ボランティアの受け入れやマッチングが難しい状況にある。
増島さんは「最大の敵は暑さ。避難所にエアコンがない。公共施設は停電が続きポータブル電源頼みで、冷房まで手が回らない」と話した。小中学校の体育館には冷房がない。教室は避難所として使用しない決まりだが、一部の学校では住民らの要望で、冷房の付いた教室を避難者に開放し始めた。余震で家が倒壊することを恐れ、車中泊を選択する人も少なくないが、現地はガソリンが不足してスタンドは長蛇の列。車中の冷房を継続するのが難しいと判断して、車中泊をあきらめる人もいるという。

高齢者・子どもの一時避難も検討を
余震が続き、自宅にいられないため、屋外にブルーシートを敷いて寝ている人もいる。熱帯夜のため熱中症による体調悪化が心配だ。
暑さ対策グッズ、食料、ガソリン、家屋の片付けの人手……何もかも不足しているという。
八代市内でも坂本地区などは被害が小さい。車で長崎、宮崎、鹿児島など隣県に避難することも可能だ。そこがボトルネックの交通不全があった能登半島地震との大きな違いだという。
増島さんは「高齢者、子ども、障害者など暑さに弱い人を一時的に県外に避難させるなど、国・県は暑さ対策に早急に手を打つべきだ」と話した。

