議員定数削減反対!緊急アクション 女性の力、幅広く結集 40人が呼びかけ、2600人・団体が賛同

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自民・維新が進める議員定数の削減に反対して、さまざまな立場の女性たちが結集したよ

衆議院議員の議席を削減する法案が、10月召集の特別国会で審議される見込みです。自民党と日本維新の会の与党2党が共同提出した法案では、1年以内に衆議院選挙制度協議会において削減方法についての結論が得られなければ、比例代表の定数のみ45議席を削減すると明記されています。比例代表は小選挙区に比べ、小政党やさまざまなマイノリティの代表が議席を得やすく、これまでも女性や障害を持つ当事者が比例代表で当選してきた実績があります。定数削減に危機感を持った女性ら40人が呼びかけ人となり、「議員定数削減反対!緊急アクション」を結成。9月15日に参議院議員会館で発足の記者会見を開きました。

議会の構成を変質させて民主主義を破壊

最初に発足の経緯について弁護士の杉浦ひとみさんから説明がありました。

今年1月23日に召集された通常国会初日に、高市早苗首相は解散を宣言した。高市早苗が総理大臣でよいのかどうか、国民のみなさんに決めていただくという議員内閣制の下で全く必要ない理由での解散だ。私たちが選んだ衆議院議員の任期を一挙に失わせ、根拠なく民主制を踏みにじった。それは年度末の予算成立の重要な時期に、国会を機能させないものにする議会無視、真冬の選挙で選挙準備にも投票にも影響を与えるようなものだった。
多数を得た選挙後は、私たちが必要性を感じない政権主導の皇室典範改正や国旗損壊罪などを議会での十分な検討もないまま、数の暴挙で成立させた。議会の運営は民主的な議論の過程を軽視し続けた。次の臨時国会では議員定数削減法案を押し通そうとしている。今度は私たちの声を代弁する代表者の数を減らし、構成を変質させて民主主義をゆがめようとしている。私たちはこの民主主義の破壊をこれ以上黙っているわけにはいかない。議員定数削減法案反対の一点で結集した。私たちの声が届く国会をつくるために大きな塊となって、定数削減法案の成立を止めたい。国会にこの動きを伝えたい。

人口あたりの議員数が少ない日本

次いで、定数削減に反対する理由について呼びかけ人の1人で、上智大学法学部教授の三浦まりさんが解説しました。

先の国会で自民・維新の連立与党が衆議院の議席を削減する法案を提出した。成立しなかったが、今後の臨時国会で審議すると言われている。議席を1割減らすとなっていて、さらにその45議席について1年以内に選挙制度協議会で結論が出なければ、比例代表のみを減らすとしている。私たちは反対の意志を表明したい。
議席を減らすことが「身を切る改革」という名の下、無駄を削減するものと誤解されている。しかし、国会議員は私たちの社会の多様な声を代表する存在。少数者の意思を代表しやすい比例代表で削減するということは切られるのは私たち主権者の側である。
そもそも1割削減の根拠がない。日本は議員が少ないという構造的な問題を抱えている。人口100万人あたりの国会議員数を見ると、世界193カ国中172位。OECD諸国平均が27.9人であるのに対し、日本は5.7人。さらに減らすことは、多様な声を切り捨てて、小選挙区で議席を得た人たちに権力の集中を加速させるものだ。
比例が減らされると小政党、女性を含むマイノリティが議席を得にくくなる。国会はそのことに問題意識を持って2018年、「政治分野における男女共同参画」に関する法律を全会一致で可決成立させた。定数削減はこの法律と合致しないどころか、大きく矛盾する。なぜ削減するのか、与党に対して説明責任を求めていきたい。
定数削減は予算削減の効果がほぼない。必要ない総選挙をした方が多くの予算を使っている。そして国会議員の多様性が失われる。私たちの代表を切る法案である。私たちはそう訴えていきたい。
なぜ「身を切る改革」が一定の支持を得てしまうかというと、国会議員がある種特権化し、権力を私物化しているという状況が長年続いてきたからではないか。「私物化するような国会議員ならいらないだろう」と世論の一定の支持があるのだろう。しかし国会議員のあるべき姿というのは多様な民意を代表すべき存在なのであるから、数を減らさないと同時に、むしろ比例を増やしてもいいかもしれない。私たちは国会議員が本分に立ち返って我々を代表する存在となるよう、大きく声を上げていこうと思っている。

呼びかけ人がリレートーク

呼びかけ人が1分ずつリレートークを行いました

◆福田和子さん(東京大学特任研究員、#なんでないのプロジェクト代表)

これまで緊急避妊薬を薬局で入手できるようにするなどSRHR(性と生殖に関する健康/権利)の実現に向けて、一人ひとりの傷つき、悔しさ、そして未来への希望を届ける活動をしてきた。痛感してきたのは高齢男性に偏る政治によって、女性、若者、障害者、LGBTQ+はじめ個人の切実な声がいかに政治に届きにくいかということ。議員定数の削減は政治家の身を切る改革ではなく、脆弱な立場に置かれやすい人を切り捨てる改革だと思う。社会的強者による強者のための政治がまかり通る世の中で、民主主義の根幹にかかわる仕組みが安易に変えられていく、その積み重ねを私たちは許してはいけない。

◆斉藤正美さん(社会学研究者)

富山県から新幹線に乗って来た。富山では衆院選はいつも与党圧勝。都市部の人からは「保守的な人が多い」と言われるがそうではない。1人区が多いからだ。それで社会の実態を反映しない選挙結果になっている。この法案が通れば、全国にいろいろな考えの人がいっぱいいるのに、国会には同じような考えの人しかいなくなったとみんなが言うようになるのではと思って反対している。

◆菱山南帆子さん(市民連合共同代表)

小選挙区制度の下では1選挙区から1人しか選ばれない。有利になるのは「地盤(地縁)、看板(知名度)、カバン(資金)」がある人。90%の女性が結婚したら姓を変えているような状況の中で、女性が地域に根付きながら立候補するのは困難だ。比例区は女性にとって大事な制度。それを減らすのはとんでもない「ミソジニー法案」だと思う。世界の水準に合わせて比例を増やすのではなく、減らす。全く民意が尊重されない、反映されない。そうした法案を出してくる高市政権に断固反対していきたい。

◆山崎摩耶さん(クオータ制を推進する会代表)

(年齢別、性別のピラミッドを示し)日本は女性有権者が52%。国会議員の女性は14.6%と極端に少ない。クオータ制を推進する会(Qの会)は男女の議員数が50:50になることを目指して活動してきた。候補者男女均等法を私たちが2018年に汗をかいて成立させた。この理念をないがしろにするような今般の定数削減。この法律には断固反対したい。定数削減よりは選挙制度全体の改革とクオータ制の導入を推進したい。

◆浅倉むつ子さん(早稲田大名誉教授、女性差別撤廃条約実現アクション共同代表)

この法案を提出しようとしている国会議員は自分たちの仕事の重要性を理解していないと思う。定数削減の提案というのは自分たちがもっと少ない人数でも今の仕事ができる、余計な人数は必要ないという主張だからだ。それは思い上がりだ。国会議員には国民の声を国会に届ける義務がある。時間や人手が足りないという声が上がるのがむしろ当たり前ではないか。法律をつくり、内閣や行政の仕事を監視し、少数者の声も丁寧に拾い上げるには一定数の国会議員がぜひとも必要だ。合理的な根拠もなしに1割削減などと言って、国会機能を弱めるような定数削減提案は大きな勘違いだと思う。

高市政権というのはいろいろな方法で与党への権力集中を進めてきているように思う。議員定数削減はその一つ。今以上に国会を独裁の場にしていこうとしているのではないか。

その力で何をしようというのかというと、憲法を変える、緊急自体条項、9条を変えていって、軍事力をさらに強化し、戦争を引き寄せる。そういう可能性が強くなる。そのような策動は一つずつ潰していかなければならない。今こそ、女性議員その他の多様な意見を持った議員を増やし、国会を熟議の場にしなければ、日本は戦前のように力の支配の場になってしまう。

◆上野千鶴子さん(社会学者、認定NPO法人ウィミンズ・アクション・ネットワーク顧問理事)

今日、さまざまな立場の人たちが一堂に会したのは、民主主義の危機を強く覚えているからだ。選挙制度は民主主義の根幹。1994年に小選挙区制ができたときに、それを推進した政治家や政治学者たちが「あれは間違っていた」と後悔している状態にある。小選挙区制は死票が多く、民意を反映しにくい。その中で比例代表を削減するとはとんでもない。「身を切る改革」というならば、政党助成金の削減や企業献金の廃止をやってくれ。何より裏金問題をまず解決してほしい。

◆雨宮処凛さん(作家、反貧困ネットワーク世話人)

私は貧困問題に関わりつつ、障害がある方とも付き合いがある。この間、重度障害がある国会議員が誕生したことは大きいことだと思っている。れいわ新選組の木村英子議員の国会質問によって、新幹線の車椅子席が増設されたり、多目的トイレの設置基準が変わったりした。厚生労働省から重度障害の方が入院したときの介助者に関する通知が出た。細かなところで当事者にとっては命にかかわる運用の変更がたくさんなされた。当事者である障害のある議員が誕生したということが大きい。そういう芽を摘むような議員定数削減だと思うので断固反対していく。

◆山下泰子さん(国際女性の地位協会名誉会長、文京学院大名誉教授)

私たちは40年あまり、女性差別撤廃条約の研究、普及活動を続けてきた。2025年の日本の女性の政治参画は世界148カ国中125位に低迷している。この状況を改善するために、国連女性差別撤廃委員会は2024年、政治分野における男女共同参画推進法のクオータ制を、罰則を含む強行法規にするよう勧告した。また特に国会議員に立候補する際の300万円の供託金を減額することを2年以内に実施し報告せよとした。その期限は来月だ。このたびの女性議員が減ることが明らかな議員定数削減法案に絶対に反対だ。日本政府はむしろ、女性差別撤廃委員会の勧告を生かしてほしい。

◆林陽子さん(弁護士)

国連の女性差別撤廃委員会で11年間にわたり締約国の報告書審査に携わってきた。そこでわかったのはジェンダー平等推進国は、自然にそうなったわけではなく、意識的に政策を作って実行しているということだ。多くの国は何らかの形でクオータ制を取り入れており、それが選挙の比例代表方式に馴染みやすいということは世界の常識となっている。女性差別撤廃委員会は総括所見といわれる中で、その国にとって最も重要な項目をフォローアップ事項としている。日本は夫婦別姓と並んで、政治における女性の過小代表が指摘されている。日本の衆議院に14.6%しかいない女性議員のほとんどが比例の選出で、68名中40名を占める。比例区の議員定数を削減するということはただでさえ少ない女性をさらに減らし、大政党以外の多様な候補者が当選することを困難にするものだ。女性差別撤廃委員会の勧告からも大きく外れることであり、私は反対する。

◆加藤陽子さん(東京大学名誉教授、日本近代史)

制度がどういう結果をもたらすかについてメッセージ集に書いた。

「選挙制度によって女性の政治進出の難易度が容易に変化することは、歴史が教えるところです。1946年4月の戦後初の第1回総選挙は大選挙区・制限連記制(投票用紙に2人の名前をかける)で実施され、39名の女性代議士が誕生しました。しかし、ちょうど1年後の1947年4月の第2回総選挙では、中選挙区・単記制(投票用紙に1人の名前しかかけない)で実施されたこともあり、女性の当選者は15名に激減しました」

先の国会では国旗損壊罪や国民投票法案などを内閣提出の閣法ではなく議員立法で出している。次に出そうとしている議員定数削減も議員立法だ。内閣提出と議員立法の違いは、審議過程について関わっている議員以外の人の議論がちゃんと照会されているかどうか。議員立法は公開性というところで非常に問題がある。国会議員をどのように選ぶかという一丁目一番地の部分を、議員立法で早く通して、審議過程を非公開でやることは大変に恐ろしい。45定数削減後の国会が開かれるようになると不可逆であり、「ポイント・オブ・ノーリターン」が国会の中に勢力図としてあるということに危機感を感じている。

◆高井ゆと里さん(倫理学者、トランスアクティビスト)

私たちの国は衆議院を(首相が)好きな時に解散することができ、政権与党の都合のよいタイミングで解散して、不公正な選挙に巻き込まれてしまう。結果として権力集中が起きやすい構造がそもそも成立している。比例代表が減るということは権力集中がますますすすむということで、私はそれを危惧している。加えて国会議員というのは選挙の時点の国民の声を代表する存在であると同時に、任期中に有権者や市民の声を政治に届ける窓口になっている存在だ。民主主義のプロセスに関わっている存在だ。れいわ新選組から比例代表で障害のある当事者の議員が誕生した。そういった議員は代表というだけでなく、障害当事者の人たちが霞ヶ関や国会に声を届けるプロセスを担ってきたと思う。代表制の危機であると同時に民主主義のプロセスを壊すことになってしまうと懸念しているので、議員定数削減に反対している。

◆池田香代子さん(翻訳家)

今日は故・瀬長亀次郎氏(元衆議院議員、那覇市長)ゆかりのストールを身に着けてきた。私たちは「不屈」なので。

議員定数削減、特に比例代表の削減は小政党ほど不利を被り、国会の多角的な行政監視機能を低下させる。衆議院には17の常任委員会のほか、特別委員会、憲法審査会がある。ただでさえ小政党では一人の議員がいくつもの委員会をかけもちし、法案チェックが行き届かず、議員の専門性を生かして職責を果たすことが困難だ。この状況を加速させる比例代表削減は、民意集約の効率化と国会効率化という名の下に国会を形骸化し、専制に近づけようとする罠だ。

◆久道瑛未さん(弁護士)

普段は憲法上保障された基本的人権の尊重がすべての人に行き届くことを願って活動をしている。議員定数削減によって切り捨てられるのは人権保障がいまだ不十分な人の声であると思う。恩恵を受けるのはすでに政治に対して影響力を持っている人たち。より金権政治を加速させる政策だと考えている。今の政治に不満がある人、自分たちの声が届いていない、代弁されていないと感じる人ほど、この法案には強く一緒に反対していただきたい。

◆前田佳子さん(公益社団法人日本女医会会長、平和を求め軍拡を許さない女たちの会共同代表)

日本女医会は1902年に設立された。一貫してジェンダー平等の推進を行ってきた。その立場から定数削減に反対したい。医療の現場では患者一人一人の声を丁寧に聞くことが不可欠だ。民主主義も同じ。議会は多数派だけでなく、小さな届きにくい声を社会の政策に反映するためにある。制度は自然に平等にはならない。比例代表を削減することは、女性や障害がある方など、多様な立場の人が政治から遠ざかることにつながる。いのちを守る医療と暮らしを守る民主主義は根底でつながっている。医療では一人の命も切り捨てない。政治も一人の声も切り捨ててはならない。

◆和田靜香さん(ライター)

ライターでポリタスTVというYouTube番組のMCもしている。7月にこの会が発足してからメーリングリストで、みなさんがさまざまな意見を述べ、全員が発言していた。そのメールを見るたび「すごい人が書いている」と思いながら見ていた。時々は私もちょっとだけ発言した。まさにこの会、この場が民主主義だと感じていた。

民主主義の場であれば、私のようないちライターで、ついこの間まではおにぎり屋さんでバイトしていたおばちゃんが、入って発言できる。あらゆる人の声が生かせる、多様性が実現される場だとつくづく感じた。今回の経験を通じて、議員定数削減は絶対にダメだと改めて感じた。

◆勅使河原真衣さん(組織開発コンサルタント、著作家)

教育社会学を修めたのちに企業のコンサルタントをしている。行きすぎた能力主義と自己責任論を批判する著作を執筆している。ここに座って怖い顔をしていても私には何の得もない。ニコニコして本の宣伝でもしていた方がいいんじゃないかと言われた。しかし、それじゃだめだと、本田由紀先生をはじめとする東大の教育社会学で教わった。議員定数が削減されれば今すでに立場の弱い人がより不利な立場においやられるだけだ。声を大にして申し上げる。これは改革でもなんでもなく、独裁の入口です。

定数削減が先行した大阪「政治に民意が届かない」

◆平井美津子さん(歴史教育者、上方平和教育研究所共同代表)

大阪からオンラインで参加している。大阪に生まれ大阪に育ったが、10年以上「維新の会」によって、大阪は支配されている。維新の会は「身を切る改革」とすぐに言うが、この15年間で大阪府議会議員は109人から79人に30人も減らされた。来年4月にはさらに73人に減らされる。その結果、どういうことが起きているか。府議会で首長が提案したことが、ほとんどなんの議論もないまま通されていく。よく「大阪の人って維新が好きやね?」と言われる。私は維新が好きではありません。現在、維新は26.7%の絶対得票率で70%近い議席数を得ている。その理由は何か。定数削減と1人区を増やした結果だ。私たち大阪に住んでいる人間たちは、自分たちの声が府の政治に届かないという悔しい思いをさせられている。こういったことが全国に広がらないように定数削減に絶対反対していく。

今マジョリティであっても勝ち逃げできない

現実に定数削減を阻止するためには、多数に訴えなければなりません。

自分をマジョリティの側にいると思っている人に、どのような危険性を訴えるかという記者の質問に対し、杉浦ひとみさんは「今、日本ではマジョリティといっても個々が分断されている。砂粒のような個々がマジョリティになっている。そういう現実を見るに、マジョリティもまた、分断された力の弱い人間と知ってもらいたい」と話しました。

勅使河原真衣さんは「私は38歳の時にステージ3の乳がんを告知され、闘病した。今マジョリティの側にいると思っている人も、長い人生を勝ち逃げできるかは別です。病気や障害は人を選ばない。高額療養費制度の引き上げなどの政策も命を大事にしていないなと感じる。いつまでも自分が勝てると思い上がっていると、気がついた時に大変なことになる」と述べました。

議員定数削減反対!緊急アクションは10月6日(火)17時〜19時、参議院議員会館講堂で緊急院内集会を開きます。申し込みはhttps://forms.gle/G6zrNTvRh4LwpawZ6

関西では10月18日(日)14時〜16時、同志社大学烏丸キャンパスで集会を開く予定です。