「家賃高すぎ。何とかしろ!」デモ 3月14日・新宿で開催 住宅費が家計に占める割合、東京都区部では5割超えも

記者名:

手取りの半分を家賃に持って行かれる東京の状況はどう考えてもおかしい!

賃貸契約の更新時に家賃の値上げを告げられた——困窮者支援団体にはいま、家賃値上げに関する相談が相次いでいます。そもそも都市部では家賃が高く、家計に占める住居費の割合はこの2年で軒並み悪化し、大阪や東京都区部では4〜5割にのぼっています。緊急対策を求め、住まいの貧困ネットワーク、首都圏青年ユニオンが3月14日午後2時から、東京・新宿で「家賃高すぎ。何とかしろ!」デモを開きます。

【開催要項】http://www.labornetjp.org/EventItem/1771574474195matuzawa

家賃値上げに関する相談が増加

6日に東京都内で記者会見を開き、デモの背景について説明がありました。

住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人の稲葉剛さんは「家賃が1割以上上がるという相談が増えている。単身では49,000円から55,000円へ、ファミリータイプでは9万円台だった家賃が10万円になるといった声がある」と話しました。

生活保護の住宅扶助は東京23区では53,700円に設定されていますが、この値段では部屋が見つからないという事態が起きています。生活困窮者支援法の枠組みで、求職者向けに支給する「住居確保給付金」の基準額も住宅扶助に準じており、都内の実情に合っていません。

労働者福祉中央協議会(労福協)が2025年7月、30代以下の3000人を対象にした調査では、家賃や持ち家の住宅ローンなど住宅関係費の負担を「かなり感じている」が、独身の34.6%、子どものいる既婚の46.6%にのぼりました。

東京都区部では手取りの半分以上が家賃に

デモを企画した高崎経済大准教授の佐藤和宏さんが家賃の現状について、基調報告しました。

佐藤さんらのまとめによると、総務省の全国家計構造調査で家計における住居費負担の割合は、1989年が9.7%でしたが、2019年には13.1%に上昇しています。年齢が若くなるほど負担率がより悪化している傾向にあります。

住宅の販売価格も上昇傾向にあり、2025年は2010年の1.3倍、特にマンションは2.3倍近くに跳ね上がっています。これは都市部で顕著で、東京都区部の分譲マンションの平均価格は2022年まで8200万円台でしたが、2023年に1億1483万円に急騰、2025年には1億3613万円となっています。(株式会社不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向2025年のまとめ」)

2010年を100とした各種住宅の販売価格の推移グラフは佐藤准教授作成)

大都市圏の可処分所得に占めるマンション家賃の割合は最近2年で、名古屋市を除き上昇。東京都区部は2023年11月に43.1%でしたが、2025年11月には52.0%と、手取りの半分以上が家賃に費やされるという状況が生まれています。

佐藤さんは、「建築関連の材料費、人件費の上昇や、低金利のうちに住宅を購入しようという需要に押し上げられて住宅価格が高騰し、持ち家取得層が賃貸市場に流入した結果、家賃高騰が起きている」と説明しました。インターネットでは、外国人の投機的な不動産取得により家賃が高騰しているという説もありますが、佐藤さんは「外国人の流入よりも都市部への若者の人口流入の方がはるかに規模が大きい。都市部への人口一極集中が住宅市場逼迫の原因ではないか」とみています。国土交通省も昨年、新築マンションの短期売買と国外からの取得を調査しました。新築マンションのうち国外からの取得は東京23区で3.5%。金子恭之国交相は「この割合が小さいかの判断は困難だが、日本人か外国人かを問わず、実需に基づかない投機的取引は好ましくない」との考え方を示しました。

少ない住宅政策の予算

日本の住宅政策の予算はOECD加盟国の中ではイタリアに次いで少なく、対GDP比で0.1と超低空飛行が続いています。生活保護の住居扶助や住宅確保給付金などの住宅手当の受給率も比較可能な28カ国中14位と高くありません。社会住宅(公営住宅)の利用世帯割合も3.9%で、31カ国中16位にとどまっています。

対GDP比で見た住宅政策の予算(グラフは佐藤准教授が作成)

住宅費高騰に対する住宅政策では、東京都が2026年度、官民連携ファンドによる子育て世帯が利用しやすい安価な「アフォーダブル住宅」の提供を開始。国はあらかじめ将来の住宅価格を設定し、それを差し引いた残りを分割払いにする「残価設定型住宅ローン」の利用について議論しています。

佐藤さんは「アフォーダブル住宅は供給量が少なく、子育て世帯限定。家賃に与えるインパクトは少ない。残価設定型ローンも時限爆弾の先送りで安心して使える政策とはいえない」と話しました。

その上で、「今回のデモは、住まいに対する潜在的な不満を『まともな』政策への転換と充実への転轍機になることを狙っている」「『住まいは人権』をアップデートし、住まいも含めて憲法25条の生存権、13条の個人の尊厳の内容をより豊かなものにし、私たちのものにしていくことが求められている」とまとめました。

失職と同時に賃貸更新、家賃値上げ

住まいに困難を抱える2人の当事者が体験を話しました。

◆Aさん(50代男性)
去年の夏まで大手の電機会社のコールセンターで派遣として10年以上働いてきました。しかし、いきなりクビを通告されました。雇用期間が終了して更新をしないという派遣切りです。理由について確認したところ、派遣先の人数を削るということでした。勤務態度が悪いなど事実と異なる理由をつけられ、クビになりました。今はユニオンと一緒に撤回を求めて争っています。
派遣切りによって月30万円ほどあった収入はゼロになりました。失業手当を申請し18万円ほどいただいていますが、収入が落ち込んでしまいました。月30万円を想定して生活設計をしていたので、生活が立ちゆかなくなりました。特に家賃が問題でした。派遣切りの直後に賃貸マンションの更新の時期が来ました。その時、大屋さんから家賃を引き上げることと、更新料を支払うこと、と告げられました。そのため2カ月分の家賃を払わなければならなくなり、きつくなりました。1DK19㎡で月87000円から88000円に上がりました。寒かったり、ゴキブリが出たりと家賃に対して住宅の質が見合っていないと感じることもありました。金銭的に苦しい立場になって引っ越すことも考えましたが、都内で同じ条件だと、もっと高くなります。
ハローワークに行くたびに、次の仕事を探すのはこんなに厳しいのかと思います。失業手当だけで暮らせというのは持ち家でローンがない人に向けて考えられたものだと思います。失業しても頼れる家賃補助制度があればと思っています。

住まいに関する困難について話すAさんとCさん=東京都内

生活保護で精神疾患あり 不動産屋で門前払い

◆Cさん(30代女性)
生活保護当事者です。池袋から電車で片道30分程度の埼玉県内のベッドタウンに住んでいます。数年前に正社員で働いていた建設会社でパワハラに遭い、首都圏青年ユニオンに相談し、組合員となりました。会社と団交し金銭和解で退職しましたが、パワハラが原因で精神疾患を発症しました。その後、精神疾患を伏せて非正規雇用の職を転々としましたが、症状が悪化してまったく働けなくなりました。そこでユニオンの同行支援を受け、2025年6月、生活保護を受給することになりました。
それまでは正社員の時の収入をあてにした家賃設定の賃貸住宅に住んでいました。非正規の時には家賃が月の収入の半分近くを占めていました。低収入のため貯金ができず、引っ越し資金が貯まらず、そのまま借り続けていました。
この家賃が生活保護の住宅扶助の上限を超えていたので、受給したことがきっかけでやっと引っ越すことができました。公営住宅は満員だったので、それまで借りていた不動産屋に行きましたが「精神疾患で生活保護の人にはいっさい貸さない」と門前払いを受けました。近所トラブルを起こして注意を受けたり、家賃を滞納したことは一度もありません。給料や失業保険で家賃を支払っていた時の私と何が違うのかと、悲しく悔しく思いました。市内の他の不動産屋も回りましたが「精神疾患で生活保護受給者だから」と同じ扱いでした。そこで、生活保護課から紹介された不動産屋に問い合わせてやっとまともに物件を見せてもらうことができました。その不動産屋は外国人や高齢者や生活保護受給者を専門に顧客にしているそうです。
やっと紹介してもらった物件は確かに住宅扶助費の上限以下でした。しかし、よく見ると小さい文字で家賃以外の費用が書いてありました。24時間サポートサービス料金や賃貸住宅共財費などです。カギ交換代やハウスクリーニング代も入居者負担でした。私の住んでいる自治体では家賃と敷金と火災保険料以外の費用は一切出ません。一文なしの状態で生活保護を申請したのに、そんなお金を払う余裕はどこにもありません。
最低生活費から実質家賃を払わなければいけないのはなぜでしょうか? ただでさえ物価高騰で食べていくのも苦しいです。家賃の本当の値段を偽る酷いやり口だと感じました。結局、家賃と敷金と火災保険料以外要求しないところは1件だけでした。築45年の木造アパートの1Kでリフォームなどは行われていません。隙間風がひどく、今年の冬は家の中なのに息が白くなりました。エアコンを点けても設定温度より5度低くまでしか上がりません。線路近くて電車が通るたびに揺れるなど耐震性で気になるところもありますが、もうここしかないとあきらめの気持ちです。今怖いのは、古いので取り壊しが決まって退去させられたらどうしようかと苦しい気持ちです。
属性だけで門前払いすることを禁止したり、家賃や初期費用について規制する法律や制度の制定を強く求めます。安心して暮らせる環境が欲しいです。

家賃補助の拡充や家賃ブレーキ制度導入を

デモ実行委員会は次のような緊急要求項目を掲げています。

1)家賃に関する要求
・住宅扶助および住居確保給付金の給付額を引き上げて、家賃の実質保障ができるようにしてください。
・特に東京都は、急騰する家賃の状況を鑑み、独自に家賃補助を実施してください。
・家賃ブレーキ制度(定められた上限額を超えての家賃の引き上げ禁止)を導入し、家賃の値上げをコントロールしてください。
・住居確保給付金の給付要件を緩和し、求職中以外の人でも使えるようにしてください。
2)誰もが安心して住まいを見つけ、住み続けられるようにするための要求
・公営住宅の新築及び建て替えによって、公営住宅を増やし、住宅の質を上げてください。
・性別や性的指向、年齢、障害、国籍などの属性を理由とした入居差別を禁止してください。
・保証人がいないことによって入居拒否をされないよう、公的保障制度を創設してください。

実行委員会は署名アンケートにも取り組んでいます。

感想やご意見を書いてシェアしてください!

記事を紹介する
  • X
  • Facebook
  • Threads
  • Bluesky