1年ごと更新の非正規公務員の採否に人事評価が恣意的に使われ、適正な評価がなされていないとして、当事者らが制度の改善を求めています。署名運動も始まりました。
紙袋を被って登壇「名前も顔も出せない」
実情を訴えたのは非正規公務員の当事者団体「voices」。3月4日、参議院議員会館で集会を開きました。非正規公務員13人が、目が描かれ、口に「×」をつけた紙袋を被って登壇。顔と名前を出して本当のことを話せば次年度の任用がなくなる恐れがある状況が可視化されました。
非正規公務員は自治体の会計年度任用職員や任期付き職員、国の期間業務職員など。総務省の調査では2025年度の会計年度任用職員は68.7万人で、その76%が女性。主に事務職、相談員、保育士など住民サービスに直結する職務に就いていますが、採用は年度ごとの公募で決められ、任用が継続されるかどうかは不安定です。上司の恣意的な判断や、産育休の取得などにも左右されている、といいます。
6割超が評価の結果、知らされず
当事者団体「voices」は2025年11月〜26年2月、インターネット上で非正規公務員を対象に人事評価に関するアンケート(回答数71)を行いました。
「人事評価が行われている」は自治体の82%、国の75%。
「自分がどんな項目で評価されているか知っている」は自治体の54%、国の50%。
「自身への評価の結果を伝えられた」は自治体の38%、国の38%。
「人事評価が影響して雇用関係に変化があった」は全体の16%で、具体的には「賞与が下がった」「雇い止めになった」などでした。
非正規労働に詳しいジャーナリストの竹信三恵子さんは、自由記述から非正規公務員の人事評価を「上司による私物化」「基準があいまい」「形式主義」「評価者が仕事の内容を知らない」「非開示」の五つのパターンに分け、分析しました。
竹信さんは「仕事の中身に関わりなく1年で終了という脆弱な立場と透明性のない評価によって多くの非正規公務員が安易に仕事を奪われ、それが士気の低下や自己を否定されたという感覚を招いている」と指摘しています。

妊娠したら雇い止め 評価が悪ければ雇い止め
当事者らが紙袋の中から体験を話しました。
「4月末に出産の予定で、3月末に雇い止めになった。育休を取得できるものとして前年の11月初旬に希望を伝えた。2月初旬に公募に応募して、と言われ、履歴書を送った。最終出社日が過ぎた後、電話で不採用通知が来た」
「ハローワークの相談員。丁寧な応対を心がけている私は件数が少なく、評価が低いだろうと情報公開請求をしたら、帰ってきたのは黒塗りの書面。合計の評価の点数だけが記されており、とても低かった」
「就労支援の仕事をしている。客観的な評価基準が示されないまま、『クレームが多かった』という理由だけで雇い止めが告げられた」
「保育士。今年、月給から時給に変わり、人事評価の項目が36から9に減り、該当する項目にチェックマークを入れるだけになった。達成度や目標も問われない。形だけのいい加減な評価をされている」
「昨年1200人の保育士が雇い止めになった。更新面接で『あなたトイレに何回も行くよね』と言われた人が2人、雇い止めになった。トイレに行くことすら監視されている」
集会には総務省、人事院、厚生労働省、内閣人事局の職員も出席した。voices代表の藍野美佳さんは「妊娠したら雇い止め、評価が悪ければ雇い止め。私たちは高市首相が言うような『働いて働いてまいります』すらできない。当事者の声をしっかり受け止めて、改善してください」と訴えました。

勤務態度評定ではなく、正しい人事評価を
非正規公務員の労働問題に詳しい立教大学コミュニティ福祉学部の上林陽治特任教授は「多くの非正規公務員が受けているのは“勤務態度評定”であって、“人事評価”ではない。人事評価とは評価基準があり、フィードバックがあるもの。昇給や再任用の際にも参照される。非正規公務員であっても、勤勉手当支給のために人事評価を年2回行わなければならないはずが、そうなっていない職場がある。改善が必要だ」と話しています。
Voicesの署名はこちら。
非正規公務員を対象にした人事評価に関するアンケートはこちら。

