難民申請中のアリシャさん夫妻と日本生まれの4人の子どもの生活が逼迫しています。夫婦はともに6〜7年間、特定活動で就労していましたが、2024年4月に難民認定不許可処分により在留資格を失い、就労不可となりました。その後、一時期は夫のみ労働許可が下りましたが、2026年3月に強制退去命令が出され、再び就労不可となり、収入が断たれました。子どもは小学生1人と未就学3人。下の2人は未熟児で重い病気を抱えていますが、医療が受けられない状態です。支援団体が7月14日、記者会見を開き、一家の生活を支える寄付を求めました。
難民申請が不許可処分になり、一気に困窮
アリシャさんはコンゴ共和国から2018年に来日。夫は南アフリカ共和国から2017年に来日し、日本で出会い結婚しました。アリシャさんは民主化運動団体のメンバーで、デモに参加した後、逮捕から逃れて、政治難民となりました。活動をともにしていた仲間は逮捕、拷問を受けています。夫はコンゴ人で南ア内のレイシズムの高まりを受けて両親を殺され、祖国に帰れない事情があります。アリシャさんはコンゴ当局による迫害を恐れ、大使館に子どもたちの出生を届け出ていません。子どもたちは、法律上は無国籍の状態にあります。一方で、長女は日本の小学校に通い、日本語での会話や思考が中心となっています。出身国が異なるため、強制送還となれば、一家離散の状態になります。

難民申請が不許可処分となり、在留資格を失うと6人家族の生活は一気に困窮しました。反貧困ネットワークやつくろい東京ファンドなど複数の支援団体が生活費や医療費を支援してきました。2025年1月に入管(出入国在留管理庁)に収容せずに、監視の下で社会生活を送る監理措置が決まり、3ヶ月後に夫のみ月収上限14万円までの就労が認められました。しかし1年後に、強制退去命令が出され、夫の労働が再び不可に。
下2人の子どもには先天性疾患があり、特に一番下の子は手術が必要でしたが、国民健康保険や医療証がなくなってからは検査さえできていません。医師からは「このまま治療ができなければ障害が残る可能性がある」と言われています。
寄付の目標金額は400万円。6人家族の年間の生活保護費を基準としました。
寄付先
一般社団法人反貧困ネットワーク
みずほ銀行 飯田橋支店 普通3056440
子どもの命と未来を考えてください
アリシャさんは記者会見に出席し、次のように話しました。
私は、アリシャです。日本に、2018年にコンゴ民主共和国から来ました。
私は、大学生の時、LUCHAという民主化運動団体のメンバーでした。デモに参加して、ポリスが私を逮捕するために家に来ました。逮捕状がありました。友だちは既に逮捕され、拷問されたと聞きました。私は逃げて、隠れていました。そして、日本に難民として来ました。
日本でパートナーと出会いました。
私と、パートナーは、働いていました。
私は、コンビニのサラダをパッキングする工場で働いていました。仕事をして生きてきました。子どもが4人、日本で生まれました。下の2人の子どもは未熟児でした。2人は重い病気です。1人は熱が出ると、発作が起きて、息ができません。もう1人は、3回の手術が必要といわれ、1回目の手術を2024年3月にしました。
でも、2024年4月に難民申請が却下され、ビザがなくなりました。私は働けなくなりました。国民健康保険もなくなりました。子どもは病院にいけなくなりました。それで、あと2回の手術ができません。発作が起きても病院に行けません。
お金がないので反貧困ネットワークに助けてもらっています。反貧困ネットワークでもらった物を子どもにあげます。娘は「ママ、これ誰からもらったの?」と聞きます。娘は、自分の家族がみんなと違うと知っています。私は、どう答えたらよいか分かりません。
私たちは普通の家族です。犯罪者ではありません。みんなと同じように働いて、子どもたちを育てたいです。日本で生きたいです。子どもには、医療を受ける権利があります。大人になって活躍して欲しいです。他の子どもと同じように育ってほしいです。子どもの命と未来を考えてください。
毎日、ネット上の排外主義がひどくなっています。私はインターネットの外国人への憎しみが直接の暴力になるのが怖いです。
私のパートナーは南アフリカから来たコンゴ人です。南アフリカではレイシズムが直接の暴力になりました。私のパートナーの両親はレイシズムの暴力で殺されました。子どもに日本で同じ経験をしてほしくないです。

止まった医療、保育園にも通えず
反貧困ネットワークの加藤美和さんが裁判の経過と子どもたちの様子について報告しました。
裁判の原告は子どもたちで、特別在留許可を与えて医療を受けさせてほしいというのが主旨です。
加藤さんは「子どもの1人は未熟児で生まれ、3つの病気があった。1つは治療したが、国民健康保険がなくなり、手術前の検査を受けられなくなった。どのような治療をするか話が進まないまま、医療が止まってしまった。歩行困難などの障害が5歳以降に出るかもといわれている」と話しました。また、収入が途絶えたことにより、下の3人は保育園に通えない状態になっているそうです。
「子どもたちは日本社会で生き続けるために日々がんばっている。ここで生まれてここで生きることを否定され、この国から出ていけと言われる。あと何年か経てば、この子たちがその現実を知るのかと思うと心が痛い」
イラストレーターの金井真紀さんは3年前、一家が九州から関東に引っ越してきた直後に、コンゴ出身の友だちからの紹介で出会い、支援団体につなぎました。
「コンゴの料理を教えてもらったり、サッカーを教えてもらったり、子どもたちと遊んだりしています。入管や裁判にも同行しますが、子ども4人がいつもわちゃわちゃしている。赤ちゃんが泣いたら、廊下に出る。入管に行っても大変。鬼ごっこの『ばななおに』をやろうと言われて、遊んでいると他の家族も職員もほっこりなごむ。このご一家が行くところはみんな嬉しい気持ちになる。(会見に)こんなにたくさんの人がきてくれて、まだ希望があると感じた」
金井さんは、日比谷公園のカエルを加藤さんが手のひらに載せて、アリシャさんの子どもたちに見せている場面をイラストに描き、支援を呼びかける旗を作りました。

