日本人女性と結婚し、埼玉県で生活しているスリランカ人男性ナヴィーンさんが7月14日11時、入管に収容されました。15日にも強制送還の可能性があります。支援団体は国会議員7人の賛同を集め、同日15時から緊急の要望書を東京出入国在留管理局の西山良局長に提出しました。
収容解除を!
要望書
本日、埼玉県で暮らすスリランカ人男性のジャヤシンハ・アーラチラゲ・ウディット・ナヴィーンさんが東京出入国在留管理局に収容されました。ナヴィーンさんをめぐっては、難民申請不認定取消や在留特別許可の義務付けを求めていた訴訟が東京高裁で棄却となりました。このことを受け、ナヴィーンさんは自主帰国の意向を示しています。前回の出頭の際に貴管理局の職員にもその旨を伝え、職員からは自主帰国に向けた必要書類を用意しなければならない旨を聞いたとのことです。そして、今回、作成した必要書類を持参して出頭した際に収容となりました、以上の経過を踏まえ、下記の通り要望いたします。
1)入管はナヴィーンさんが準備を整え自主帰国できるよう、収容を解除してください。
2)入管はナヴィーンさんを強制退去させないでください。
自主帰国を申し出ていたのに……
ナヴィーンさんを支援している反貧困ネットワークの瀬戸大作さんによると、ナヴィーンさんは在留特別許可を求めてきました。訴えが棄却された後も、東京入管に毎月呼び出され、インタビュー(面接)を受ける状態が続いてきました。7月14日も入管に赴き、1時間以上出てこないまま、パートナーのなおみさんが職員に呼ばれて、「今日収容した」と告げられました。
ナヴィーンさんは6月17日、送還ではなくて、自主的に帰国する方向で担当の弁護士とともに入管に意思を伝えました。強制送還なら5年は日本に戻れませんが、自主帰国なら1年で日本に戻れるかもしれないということに望みを託したのです。1カ月かけて、入管がリストで示した書類を準備して14日のインタビューに臨みました。
ところが収容されてしまったのです。
入管内の意思疎通のなさで強制送還?
瀬戸さんは「入管の内部で意思疎通ができていない」との見方を示しました。
ラサール石井参院議員は14時から入管庁との交渉に臨みました。
「なぜ収容されたのか」
「個別の案件についてはお答えを差し控えさせていただきます」
「それでは一般論として聞くが、自主帰国するという人を収容、送還するのか」
「それはケースバイケースです」
入管の課長は木で鼻をくくったような回答を繰り返したそうです。
議員が、「先月、自主帰国を希望しているなら書類を用意しろと入管の職員に言われたことが、今月対応した職員に伝わっていないんじゃないですか」と問うと、「若干顔色が変わった」といいます。
入管交渉と並行して、反貧困ネットワークの原文次郎さんが30分間、ナヴィーンさんと面会しました。ナヴィーンさんは原さんに「着替えがない。昼ご飯も食べられなかった」と訴えたそうです。
ナヴィーンさんのこの日の最高血圧は201mmHG。
ナヴィーンさんは原さんに「仮放免でなく、監理措置か収容かの2択と提示され、収容になった」と話しました。ナヴィーンさんは先月、弁護士となおみさんと3人で入管職員に対し、自主出国の相談をしていました。それでもなぜ収容したのか。7月14日の面接で応対した入管職員はナヴィーンさんに対し、「ああ、そうなんですか。帰ることも考えているんですね」と、自主出国の話は初めて聞いたという反応を示したそうです。
ナヴィーンさんは現在、重篤なメンタル疾患のほかに、神経性の歯痛を患っていて、流動食しか受け付けない状況にあります。しかし、薬と食べ物の差し入れは認められていません。原さんは「かかりつけ医の処方箋を持っていき、なんとか薬を出してもらいたい」と話しました。
瀬戸さん、原さんとも「入管職員の意思疎通のなさで強制送還してもいいのか」と声を揃えました。
強制送還の危機が迫っていることから、瀬戸さんらは抗議行動を計画しています。
詳細は反貧困ネットワークのX(https://x.com/anti_poverty_NW)や瀬戸大作さんのFB(https://www.facebook.com/nowarseto)で。

【16日追記】
ナヴィーンさんは16日、「監理措置」の対象となることで、17日にも収容を解かれることが決まりました。同日夕、支援者と妻のなおみさんが東京都内で記者会見を開き、経過を説明しました。
ナヴィーンさんと面会した女性によると、15日夕、入管職員がナヴィーンさんに「監理措置の書類を出す気はあるのか」と質問。「あります」と答えると、「(入管から出るなら)ちゃんと食べて」と言われたそうです。
監理措置とは外国人に対し、入管に収容せず、監理者の監督の下で社会生活を送りながら退去手続きを進める制度。一定の行動制限が課されます。保証金を支払う必要があり、ナヴィーンさんの場合は30万円だったそうです。
健康状態についてナヴィーンさんは面会した女性に次のように話しました。
「血圧を自分ではかったら215あった。自分的にも最高値だった。入管から出された薬を飲んだら、骨から肉が離されるくらいの痛みで力が抜けた。本当に死ぬのではないかと思った。3種類の飲み合わせが悪かったのではないか。これで死んだ人がたくさんいると思う。『入管』ではなく『外国人の墓場』だ。服用量やタイミングを医師が伝えていない。処方ミスだと思われる。唯一口に入れることのできる流動食の『エンシュア・リキッド』は収容3日目の朝、初めて出された。1日の必要量の3分の1だった」
妻のなおみさんは「監理措置が決定になり、明日、外に出られて帰ってこれる。うちに戻れるということで、大変うれしい」と安堵の表情を浮かべました。一方で、「本人の体調がすごく悪くて、収容に耐えられないほどだったのに、収容したというのは許されないと思っています。2日間だけの収容に何の意味があったのかという印象です」と話しました。
ナヴィーンさんを3月に診察した医師によると、ナヴィーンさんは首のリンパ節が腫れており、検査の結果、壊死性リンパ節炎の「菊池病」と診断されたそうです。過労やストレスが原因で起こり、再発率も高く、医師は「今回の体調悪化も、菊池病の再発ではないか」とみています。

