7月の記録的な大雨で氾濫した秋田県秋田市の新城川(しんじょうがわ)の流域住民が4日、秋田県議会事務局を訪れ、秋田県議会議長あてに「新城川河川改修に関する陳情書」を提出した。水害の常襲地でありながら、河川改修に既に32年かかっている新城川について、早期の完工と応急的氾濫防止策を要望した。
陳情書を提出したのは秋田市下新城岩城槻ノ木で農業を営む石川秀博さん。ことし7月15日の大雨で、石川さんが町内会長をつとめる槻ノ木町内は47世帯のうち15世帯が床上浸水、20世帯が床下浸水の被害に遭った。石川さん宅も床上浸水し、農業の作業小屋にも泥水が入り込み農機具や車が故障した。
「浸水被害に何十年も苦しんできた」
岩城は水害の常襲地で、住民はこれまでも豪雨のたびに繰り返し浸水被害に遭ってきた。
陳情書で、石川さんは「7月の記録的大雨で浸水被害などへの県民の意識は高まったが、こちらの地域はこのような被害に何十年も苦しめられている。『市民の声』や県にもお願いをしたが、一向に河川改修は進んでいない感じは否めません」「すべての工事が終わるのは2038年の予定といわれましたが、15年後では遅すぎます。それまでに何度、氾濫するのか住民の不安は消えません」と地域を代表して声を上げた。
文面は、家族で話し合って書き上げた。きっかけとなったのは数日前のニュースだった。
7月の大雨による氾濫をうけ、秋田県が「太平川、雄物川、馬踏川、三種川」の河川改修に重点的に取り組む方針である、と新聞やテレビが伝えた。このうち浸水被害の大きかった太平川の4・6㌔については5年後の2028年度完工——と報じられた。
「新城川について、何もなかった」(石川さん)。秋田県によると、新城川の河川改修は着工から既に32年がたつ一方、完工は早くて15年後の2038年の見込みだ。石川さんは、改修が進んでいない新城川上流の状況を県議会議員に知ってもらおうと、陳情書を提出することにした。
議会事務局の陳情書受付を訪れた石川さんは「新城川の流域は7月の氾濫でかなりの被害を受けました。もう15年かかると聞いていますが、15年、待っていられない。大雨になればうちの町内は必ず水害に見舞われてきた。太平川や馬踏川、三種川の河川改修と同じように、新城川の工事もできるだけ早く行ってもらいたい」とし、陳情書を手渡した。
陳情書については今後、8日と11日に開かれる委員会の中で審査・質疑を行う。
新城川の河川改修について、秋田県河川砂防課は「新城川の河川改修は現在も進めている。ただ上流の方まで計画はあるもののなかなか進んでいない状況にある。来年度以降、改修を加速していけるよう国と調整している」と話している。