ろうそくを灯し震災・原発を思う 「311のキャンドルナイト」

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震災・原発について、思いをつなげよう。

 3月11日夜、全国各地でろうそくを灯し、震災や原発への思いをつなげよう。脱原発や環境問題に取り組む市民、ジャーナリストらでつくる「311のキャンドルナイト」が12月5日、計画を発表した。

 参加者は、東日本大震災から13年目となる2024年3月11日午後7時3分、全国各地でろうそくを灯し、その写真をSNSなどに投稿する。一人でも、家族でも、グループでもいい。場所を決めてろうそくを持って集合するローカルイベントを開いてもいい。灯す時刻は東京電力福島第1原発が津波被害に遭い、日本で初めて「原子力緊急事態宣言」が発令されたのに合わせた。

緊急事態宣言は、今も続いている

  呼びかけ人の一人でOurPlanet-TVの白石草さんは「この緊急事態宣言は今も解かれていません。そのことを思い起こしてほしい」と話した。白石さんは今年も月4回のペースで福島県に取材に入った。原発事故は住民の分断を生み、被災者の思いを聞いても、外には出せないことも多い。「キャンドルを囲んで身近な人と、原発事故をめぐる語りにくい部分について語り合う機会にもなるのでもないか」と話した。

311のキャンドルナイトを呼びかけた白石草さん、アイリーン・美緒子・スミスさん、マエキタミヤコさん(左から)=東京都内

 グリーン・アクション代表のアイリーン・美緒子・スミスさんは「福島第1原発事故の補償をめぐる裁判はまだ、全国各地で続いている。多くの被害者が苦しみ、がんばっています。でも13年経って報道や人々の関心が減り、疲労感もある」とみる。

 このイベントの意味を「震災や原発事故被害とそれに思いを寄せる人々を見える化し、つながり、癒やすこと」とした。もう一つの目標は「次世代への語り継ぎ」だ。高校生世代は13年前はまだ幼く、東日本大震災が記憶にない。目に見える形でイベントをすることで、若い世代に記憶を手渡していけるといいと感じている。

「13年経っても、東日本大震災や原発事故に思いを寄せている人がいることを可視化したい」と話すアイリーン・美緒子・スミスさん(中央)=東京都内

排他せず、あらゆる人が連鎖できる日に

 夏至と冬至に「100万人のキャンドルナイト」を全国で行ってきた環境広告会社サステナのマエキタミヤコさんは、「100万人のキャンドルナイトと同様に、排他しない、中心がいないドーナツ型のイベントを311に行うことに意義がある。被災者、避難者、表現者、ジャーナリスト……さまざまな立場の人が連鎖し、つながっていくイベントにしたい」と話した。

311のキャンドルナイトの企画意図を話すマエキタミヤコさん(左)=東京都内

 マエキタさんが呼びかけ人リストに寄せたコメントは「忘れない。福島に痛みを押しつけたままにしない。原発はやめる。原発のある町にリスクを負わせない。エネルギーは足りる。まどわされない。軍拡すれば戦争になる。木を切れば土砂崩れが起きる。永久に安全な原発はない。落ち着いて判断できますように」。

 イベントの根底には原発再稼働に突き進む政府や経済界への異議申し立てがあるが、原発事故で殉職した人を顕彰したいなどの理由で参加する人も排除はしない、という。

 12月5日現在、呼びかけ人は63人。専用ホームページでさらに募り、今後はメインビジュアルポスターの配布やローカルイベントマップなどの作成に取り組む予定だ。

 問い合わせは「311のキャンドルナイト」準備事務局のマエキタさん(maekita@sustena.org
(阿久沢悦子)