人身売買は人権侵害、では大量虐殺は? 市民らが防衛省入札からイスラエル製ドローンの排除を要求

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イスラエル製の武器購入は大量虐殺への加担と同じ。市民らが防衛省の入札に「待った」

イスラエルからドローンを購入するな———防衛省・自衛隊による初の攻撃型UAV(ドローン)の入札が2月17日に迫る中、武器購入に反対する3団体が2月13日、参議院議員会館で防衛省、外務省交渉を行いました。政府は310機の取得用予算として、今年度32億円を計上しています。候補機となっている4機種のうち2機種がイスラエル製。3団体は「イスラエルの機種が落札すれば、日本がイスラエルによるパレスチナへのジェノサイド(集団虐殺)を肯定しているというメッセージになりかねない」と訴えています。

暴力団が排除されるのにイスラエルは排除されない

3団体は武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、BDS Japan Bulletin、ジェノサイドに抗する防衛大学校卒業生の会。2年前からイスラエル製の武器を購入しないよう防衛省、外務省と複数回の交渉を重ねてきました。

17日の一般競争入札で候補機とされているのが、実証試験に採用された小型自爆ドローン4機種。そのうち、ROTEM LとPoint Blankの2機種がイスラエルのイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)社製です。

今回の交渉には市民団体側が約50人、外務省3人、防衛省15人が参加。交渉は2時間以上におよびました。

椅子が足りず立ったまま聞く人もいた。写真左側が防衛省、右側が市民団体=東京都内

NAJATの杉原浩司さんはまず、防衛装備庁調達事業部長名による1月8日付公告で入札に適用する契約条項に「暴力団排除に関する特約」が上げられていることについて、「暴力団が排除されるのに、ガザにおいて最低でも7万1000人を虐殺しているイスラエルの軍需企業がなぜ排除されないのか」と問いただしました。

防衛装備庁調達管理部は「条項は契約相手方が暴力団または指定暴力団員である場合に契約を解除できるとしたもの」と回答。「非倫理的な相手とは取引しないという主旨では考えてほしい」との要望には「意見として承ります」と言うにとどめました。

また機器の開発や製造過程、アフターサービスにおいて、情報の窃取・破壊やシステムの停止など悪意ある機能の組み込みや不正な変更が加えられる「サプライチェーン・リスク」について、イスラエル製品は安全が担保できない、と指摘されたことについて、防衛装備庁は「悪意ある機能の組み込みについて完全に排除できているかはわかりません。どういうチェックをしているのかは確認する」と回答しました。

「人身売買をしている企業とは契約しない」

防衛装備庁調達監理部長は2023年4月7日付で通知「装備品等の役務の調達における人権配慮の取り組みについて」を発出しています。防衛装備庁は本入札参加希望者にはこの通知に基づく「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を踏まえるよう求めている、と認めました。

杉原さんが「ジェノサイドを行っているような国、人権を侵害するような企業の製品は選ばないのですよね?」と確認すると、「ガイドラインには人身売買の例示がありますので、入札に参加しようとしている企業が人身売買を行っていたら契約しない」と述べました。

杉原さんや福島みずほ参議院議員が「大量虐殺も人権侵害では?」と何度も尋ねましたが「個別の企業について論評は差し控える」と逃げの答弁に徹しました。杉原さんは「本入札からイスラエルを排除してください」と強く釘を刺しました。

また、入札の結果について防衛装備庁プロジェクト管理室は「契約締結後、問い合わせがあれば答える」としました。

防衛省は来年度以降に取得する小型攻撃用UAVⅡ型とⅢ型については機種名や機数について情報公開を拒んでいます。その理由について「沿岸域の防衛体制が推察され、我が方の手の内を明らかにするおそれがある」としています。3団体は「情報公開の後退」と追及し、最低でも製造国名を出すよう求めました。

交渉後、記者会見に応じた杉原浩司さん(右端)ら=東京都内

交渉後の記者会見で杉原さんは「防衛省から、人身売買をしている企業とは契約しないと明言いただいた。それならば、大量虐殺をしている企業から買うはずがない。その1点だけでもイスラエル製のドローンはあり得ない」と話しました。

伊では「ジェノサイドの共犯」として首相の訴追求める

国際司法裁判所はイスラエルのパレスチナ侵攻を国際法違反と断じています。国連人権理事会の独立調査委員会も2025年9月にイスラエルがガザ地区でジェノサイドを行ったと認定。国際刑事裁判所は2024年11月、戦争犯罪や人道に対する犯罪の疑いで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、ヨアヴ・ガラント前国防相、イスラム組織ハマス軍事部門カッサム旅団のモハメド・デイフ司令官らに逮捕状を出しています。

こうした状況を受け、イタリアの法学者らが2025年10月に同国のメローニ首相らを「ジェノサイドの共犯」として国際刑事裁判所に告発しました。

杉原さんは「イスラエル製のドローンを購入することは同様にジェノサイドの共犯となり得る」と話し、入札の結果次第では、日本でも高市早苗首相、防衛相、武器輸入を進める海外物産社長らの告発を検討するとしました。

3団体は2月16日18時30分〜19時30分、2月17日9時30分〜10時30分に、防衛省前で抗議行動を予定しています。