検察に第三者調査委員会設置を 元検事正による性暴力事件めぐり国会議員が勉強会 法相への速やかな提言目指す

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ひかりさんを一人にしない。国会議員による「勉強会」が第三者委員会の設置を求めているよ

(この記事には性被害の具体的な記述が含まれます。閲覧する際はご注意ください)

大阪地検の元検事正による部下の女性検事ひかりさん(仮名)への性暴力事件と組織的隠蔽工作をめぐり、6月9日、国会議員有志が院内勉強会を開きました。会の名は「検察組織内のハラスメント実態調査や組織健全化のための第三者委員会の設置を強く求める『院内勉強会』」。会長は参議院議員で元法相の森まさこさんが務め、壇上には鈴木貴子議員、稲田朋美議員ら、再審法改正の政府案に疑義を呈してきた自民党女性議員らが並びました。

事件の概要
大阪地検の検事正だった北川健太郎氏は2018年9月、酒に酔った部下の女性検事を自宅官舎に連れ込み、長時間の性的暴行(レイプ)をはたらいた。途中、帰宅しようとする女性検事を押しとどめ、「これでお前も俺の女だ」と言って、性暴力を続行したという。北川氏が辞職せずに検事正職にとどまったため、女性検事が「上級庁に被害を訴える」と言ったところ、自死をほのめかして脅迫し、口止めしたという。
北川氏は19年11月に退官し、弁護士登録。女性検事は24年2月に刑事告訴し、大阪高検は同年6月に北川氏を逮捕、7月に準強制性交罪で起訴した。北川氏は10月の初公判で「争うことはいたしません」と罪を認めたが、12月、主任弁護士が記者会見を開き、次回公判で無罪を主張すると発表した。
一方、女性検事はPTSDによる休職を経て24年9月に復職したが、同じ部署にいた副検事が北川氏らに捜査中の秘匿情報を漏洩するなどの捜査妨害を行っていたことが発覚。10月から再び休職を余儀なくされた。女性検事は24年10月、副検事による捜査妨害や自身への誹謗中傷をめぐり、刑事告訴した。大阪高検は25年3月19日、事実関係を認めたものの「故意」がなかったとして副検事を不起訴処分とし、人事上は最も軽い戒告処分にした。女性検事は復職できる環境にないと判断し、26年4月30日、辞表を提出した。

検事正の立場と性犯罪に関する知識を悪用

勉強会でひかりさんは自身の被害を時折涙ぐみながら詳述しました。

38ページに及ぶ資料を基に、元検事正は立場と性犯罪に関する知識を悪用して犯罪に及んでいること。被害者は自分一人ではないこと。副検事は裁判所が秘匿決定したひかりさんの氏名と虚偽のハニートラップ説を検察内に広く流布、その拡散には元検事正と親しい幹部職員らが数人関わっていたこと。元検事正と副検事が通謀し、証拠隠滅などを図っており、事件は組織ぐるみであること——などを説明しました。

自らの被害の概要を説明するひかりさん=東京都千代田区

北川被告は24年10月の初公判では罪を認めていましたが、その後、否認に転じ、裁判は1年半という異例の長期にわたる公判中整理手続きに入っています。この間、ひかりさんと弁護士はひかりさんに強いPTSD(心的外傷後ストレス障害)が見られることから、訴因を準強制性交致傷罪に変更するよう求めてきましたが、検察はこれを受け入れていません。

検察の膿を出し切り、国民の信頼を取り戻すことが急務

森議員は「信じがたい悪行に強い憤りを覚える。おぞましい事件。単に検事正が部下をレイプしただけでもおぞましいが、組織ぐるみの隠蔽が疑われる。こうした事件では中立性の高い第三者委員会の設置によって検察の膿を出し切り、国民の信頼を取り戻すことが急務だ」と話しました。

その上で、勉強会として平口洋法相に第三者委員会を設置するよう求める提言を、可及的速やかに提出する、としました。

森議員は「第三者委員会は日本弁護士連合会のガイドラインに沿った形式が望ましい」とし、調査にあたるのは「利害関係のない弁護士(元検察官を除く)が適任ではないか」という見方を示しました。

院内勉強会の会長を務める森まさこ元法相=東京都千代田区

捜査機関の内部調査 誰の回答かすぐ特定

平口法相は6月5日の閣議後の記者会見で、最高検による検察職員を対象としたハラスメント調査の実施について言及しています。

ひかりさんは「ある筋から、ハラスメント調査は私の事件を対象とせず、結果は公表しない。参与会にのみ報告すると聞いた。全く意味がない。匿名性をもって調査すると言っても、捜査機関内のことなので、ログイン情報ですぐに誰の回答か特定できる。誰も本当のことは言わない」と話しました。

稲田議員は「冤罪事件もそうだが、検察は、検察組織の犯罪を絶対に検証しない。やっても内部調査にとどめる。ハラスメント調査は、再審法改正で法制審を立ち上げて議連案をつぶしたのと、同じ手口だ。第三者委員会で刑事司法への信頼を取り戻さなければならない。検察には自浄作用がないのではないか」と話しました。

森議員も「再審法改正論議の中で、検察は性犯罪の被害者を守るために検察の抗告権が必要だと主張してきた。いったいどの口が言っているのか」と憤りを露わにしました。

検察の捜査により毎日新たな被害者

ひかりさんの弁護人で元検事の田中嘉寿子さんは、性被害に遭った人たちへのアンケートにも関わっています。

「冤罪の再審の壁が厚すぎる一方、性犯罪では検察のメンツである高い有罪率を維持するために、不当な不起訴が多くなっている。検察システムの不全、捜査能力の低下により、被疑者の無理な起訴と、被害者を蔑ろにする不当な不起訴が同時に起こっている。検察の捜査により毎日新たな被害者が生まれている」(田中さん)

田中さんはひかりさんを支援する会の登録希望者がこの1カ月で600人も増え、オンライン署名も急速に広がっていることを紹介し、「支援者からは声なき声をひかりさんが代弁してくれているというコメントが多く寄せられている。それだけ国民の間に検察への怒り、不信が強い。第三者委員会の設置が必要だ」と訴えました。

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