「皇室の存続」や女性天皇の議論を認めず、私たちは天皇制廃止を求めます 100人超が集まりリレートーク

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「脱天皇制」を求める人々の声、声、声。女性天皇や皇室の人権ではない、本筋の議論を!

皇室典範改正の議論が国会で続く中、天皇制廃止を求める集会が7月3日夜、参議院議員会館で開かれました。呼びかけたのは、ふぇみん婦人民主クラブとアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)。「皇室の存続」や「女性天皇」の議論を認めない立場からリレートークが続きました。

声明に10日間で624人が賛同

2団体は6月23日の沖縄慰霊の日に、声明「今こそ、天皇制に終止符を 差別と家父長制のない未来のために」を出し、賛同を呼びかけました。7月3日までの10日間で、72団体624人の賛同がありました。

ふぇみんの京極紀子さんは「国会は残り2週間。国旗損壊罪は与野党4党の共同提案だが、提案者のうち国民民主党と参政党が参加しない中で、衆議院本会議で可決された。空転国会を収拾しようと議長が乗りだし、中道改革連合が皇室典範の問題を議論するには『静謐な環境が必要』と発言。しかし、静謐な環境も国民の総意もない中で取りまとめられようとしている。私たちはどの議論もいいと思っていないよということを示したい」と話しました。

wamの渡辺美奈さんは「私たちは日本軍性奴隷制の加害と被害を伝え、天皇・裕仁の戦争責任を追い続けているミュージアム。国際女性戦犯法廷で有罪判決を受けた裕仁のことを常設展で紹介してきた」とし、天皇制廃止を今訴える理由について、「私たちがいま、(天皇制を否定し大逆罪で有罪となった)金子文子が100年前にしたことに勇気づけられるように、後世の人に天皇制廃止を訴えた人たちがいたと残さなければいけない」と訴えました。

渡辺美奈さん=東京都千代田区

「女性天皇」でも、「皇室に人権を」でもなく

皇室典範改正案に反対している人の中には「女性天皇」を求めている人もいます。その中にはフェミニストと呼ばれる論客もいます。またリベラルな評論家であっても「天皇や皇室に人権を」と主張する人もいます。

渡辺さんは「靖国合祀取り下げ訴訟の韓国人遺族から、『天皇制は日本人がどうするか決めることだ』と言われた。天皇の名の下でひどい戦争被害を受けた人から日本人の責任を問われたことを重く受け止めている」と話しました。

その上で声明に不足していた2点を挙げました。

  • 天皇の名の下にたくさんの命が奪われたことをもっと書き込むべきだった。
  • 天皇制の終わらせ方、「皇室じまい」について具体的な道筋を考えていなかった。

渡辺さんは「皇室典範の改正案のグロテスクさは想像を超えていた。人ではなく、種馬の数で数えているような論議だ。この改正案に対しては反対の声はもっと広がるのではないか。静謐な環境を許さず、大きな抗議の声をしっかりと上げていきましょう」と鼓舞しました。

続くリレートークでは13人が、反天皇制、脱天皇制についての思いを語りました。

家族がいればハッピーなのか?

■堀江有里さん(信仰とセクシュアリティを考えるキリスト者の会代表、日本基督教団牧師)

1994年にキリスト教の中でセクシュアルマイノリティの置かれた状況を考えようと立ち上げた団体です。日本基督教団は、戦時下に大政翼賛体制の中でプロテスタント教会が合同させられてできた教会です。キリスト教の神と天皇を並列させながら、礼拝儀式の前に宮城遙拝、君が代斉唱を置いた。戦後はいくつかの教派が脱退し、残ったのが今の基督教団です。天皇制に翻弄されつつも天皇制を支えてきた歴史を持つ教派の中にいます。1969年に沖縄の“本土復帰”を先取りする形で、沖縄のキリスト教と合併。国と同じ形でキリスト教の集団も動いてきたことを歴史の反省として私自身が担っている。

さまざまな分断が天皇制をめぐって起こっている。ジェンダー関連の学会でも、女性が入れない領域を作ってはいけない。天皇制は象徴なんだから、女性天皇が認められれば、性差別が軽減されるんじゃないかという議論があるが本当でしょうか?

天皇制を廃止するというのは女性天皇を認めてから言ってくれと言わんばかりの議論が行われていると思います。

全国で仲間たちが「結婚の自由をすべての人に」をスローガンに訴訟を闘っている。最高裁判決が今年度中に出るだろうといわれている。ちょっと待って。なぜ、婚姻制度の諸問題についてあれだけ議論が積み上がってきているのに、婚姻ありきの話になっているの?と考えなければならない。婚姻制度を問うような議論さえも今、封じられることになってはいないか。家族がいることがハッピーなのか? 性的マイノリティはみな家族が必要なのか? レズビアンとして単身者として病気にかかっていて、考えさせられることが非常に多いです。家族の中で起きている暴力を置き去りにしていいのか。そもそも戸籍制度という天皇制を補完する制度を前提とする婚姻制度の問題が、なぜ婚姻平等の議論では出てこないのか。私は橋をかけようとする努力を手放したくない。私たちはあきらめてはならない。

堀江有里さん=東京都千代田区

不可視化されて生き延びる差別 部落も天皇も

■藤岡美恵子さん(『部落フェミニズム』の著者の一人、法政大学非常勤講師)

『部落フェミニズム』は部落女性9人が部落の女性がさまざまな意味で不可視化されてきたことに抵抗の声を上げる本です。今日は、私は一人の部落民としてこの場に立っています。部落民は天皇制がある社会では、いわば天皇の対極にある存在です。中世から続く身分制度の下で、部落民が差別されてきた。近代になっても再編されて天皇制の下で、血筋が違う家柄が違うとして差別されてきた。最も激しく象徴的に現れるのが結婚です。東京都が2024年に人権意識調査をしました「部落の人と結婚しようとしたとき、親や親戚から反対されたらどうするか」という設問に「かまわずに結婚する」が39.6%、「しない」が13.4%、一番多いのが「わからない」46.9%。

若い世代ほど部落問題を知りません。だから自分がどうしたらいいかわからないという傾向があります。部落民と相手が名乗っているのに、「部落差別なんて今もあるの?」と聞く人がいる。それは決して珍しい例ではありません。部落差別を語ることがタブー視され、ています。部落差別が不可視化されることで差別はなくならない。生き延びている。天皇制を語ることがタブー視されて生き延びていくのと同じプロセスの中で起きていると私は思います。

女性史に部落の女性は出てこない。女性運動を語る際にも部落女性の運動は語られてきませんでした。それもまた部落の不可視化につながっています。

差別や序列の秩序は優生思想とも親和性が高い制度です。

天皇は国民の象徴とされていますが、日本人以外は排除するシステムです。日本国憲法でさえ、権利享受の主体は日本人に限られています。こういう制度の中でずっと生きていることに自覚的な人は非常に少ない。

部落民は100年前に自分たちの組織を立ち上げたが、10年で大政翼賛運動に飲み込まれた。1934年にある部落の女性がこう書いています。「同じ尊き陛下の赤子に生まれながら、そこになんらの相違があろうか」。非部落民に向けた言葉です。天皇制の下で大和民族としての平等を求めるという論理に差別への抵抗の論理が変わっていったのです。

100年後を生きる私たちはそうしたものに包摂されたくありません。

藤岡美恵子さん=東京都千代田区

この国全体を家父長制にするために生き延びる「あの家族」

首藤久美子さん(女性と天皇制研究会)

私たちは「愛子」が生まれた時に発足したグループです。

いま、(旧宮家に縁戚を持つ)麻生太郎(衆院議員)が皇室典範改正の前面に出てきて、男系男子でどうしてもやりたいんでしょうね。それが逆に「愛子を天皇に」という声につながっていることに、ザワザワする。愛子が生まれた時、苦労して産んだ子どもが女の子ということで(雅子の)立場が弱くなっていく、民間から皇族になった女性がそういう目に遭っているということで、悲劇のヒロインみたいな物語が作られた。

皇族を人間として見てしまっていることに対してどのような言葉を言っていけばいいのか、当時からずっと考え続けています。

天皇に、女性はなれない。男性が前を歩くのが男女不平等、女性差別と見える。しかし、天皇制は世襲制です。そもそもそこに揺るがしがたい女性差別を含んでいる。天皇家を続けて行こうと思えば、必ず女性差別は行われる。悠仁が継いでも、子どもを作るのが第1の公務になる。この異常な制度を国が掲げ続けていることが問題だ。

天皇制は差別の根源。性差別、民族差別、排外主義の根源が天皇制。あの家だけが家父長制なのではなく、この国全体をあの家にするために、あの家族が生き延びてきている。それを延命するために、女性天皇をかつごうとしているのは非常におかしな話だと思っている。女性だろうが、男性だろうが天皇は要らない。一緒に声を上げて行きましょう。

首藤久美子さん=東京都千代田区

産む産まないは私が決める、の真逆

大橋由香子さん(SOSHIREN女(わたし)のからだから)

産むか産まないかを自分で決める社会を目指して活動している。大日本帝国憲法下で1907年にできた堕胎罪が今もそのまま存在している。妊娠したら女は産まなければいけない。中絶した女性は1年以下の懲役、手助けした人も罰せられるが、妊娠相手の男は罪に問われない。太平洋戦争中は産めよ、増やせよで人口を増やした。敗戦後、今度は人口を減らさなきゃいけない。『質の悪い』不良な子孫が生まれないように、1948年に優生保護法ができた。中絶ができるようにはなったけれど、こういう人間は産んではいけないと国家が法律で定めてきた。2年前の7月3日、最高裁が優生保護法の障害者差別の部分に関しては制定当時から憲法違反であったと認めた。

優生保護法はいま、母体保護法になっているが、中絶に関しては配偶者の同意が必要。安全な中絶の方法が少なく、値段が高いという状況があります。私の体は私のものではない、自分で決められないという社会に私たちは暮らしている。私たちは、国にとって望ましい人間には子どもを産ませ、「不良な子孫」を身ごもった人には産ませないようにすることに反対してきました。性と生殖に関する健康と権利(SRHR)のために活動しています。

こういった視点から見た時に、天皇は明らかに性差別であり、産むか産まないかを一人ひとりが決めるということの真逆を見せつけている。

SOSHIRENのメンバーの声を持ってきました。

Aさん)天皇制はいろんな差別を体現しているので、消えてなくなれ!天皇一家はいつも存在していて、男中心の家族とか血縁が大事とか、よい母、よい妻とか、子どもの望ましい成長の姿とか、エンドレスで流れ続ける動画みたい。一家に何か起きるたびに、家父長制的家族のあり方を世に宣伝している。日本人を自認する人たちには、天皇一家が時に気の毒に見えるので批判しにくい。これが恐ろしい。まだ延命し続けるかもしれないがその怖さを語ることが必要だ。

Bさん)「愛子さんが天皇になって、青い目の子どもが、茶色い肌の子どもが生まれたら、どうする?」という人種民族差別。「男の子が生まれなければどうする?」という女性差別。「健常児でなかったらどうする?」という障害者差別。天皇制は差別の上に成り立っているのは明らか。これはもうSRHR、リプロダクティブ・フリーダムへの攻撃。さらに血筋よるという前近代的な差別にのっかっているわけだから、天皇制は日本に生きる全ての人の人権を切り崩す制度である。この事実から出発するしかないよね。

Cさん)男系の血筋を尊いものとして維持しようとする限り、女は「良い母体」であることが求められる。おぞましいね。天皇制を早くなくそう。

Dさん)誰を好きになるか、どんな家族を作るか。国家や社会がコントロールしようとすることに反対します。天皇制が日本の象徴だというならば、男系男子などという制度を日本の象徴にしてはいけない。もし残りたいのなら、この国の女性差別を保存する展示とし、京都に置いて、男系男子天皇制国宝としたらいいのではないか。税金は使わない。どうやったら天皇制をなくせるのか具体的に考えていく時がきていると思う。

大橋由香子さん=東京都千代田区

道徳主義とパターナリズムから手を切ろう

夜生か春や色さん(シスへテロ中心主義も反対する天皇制解体フェミの会(仮))

この団体は、1週間前に立ち上げました。皇室典範改正の議論について、怒っている人がすごくたくさんいることを伝えに来ました。

そういう声をまとめて、ZINEを3日で作ってきました。

とにかく形にしてものを言いたいという仲間が集まりました。読み上げます。

・反天ヴィーガンからのメッセージ

あらゆる身分制度、階級制度、家父長制の根源である天皇制をいちはやく解体したい地方に住むフェミニストです。肉食という行為は、上にあげたあらゆる制度的差別と切っても切り離せない関係にあるんじゃないかなと思っています。脱肉食は構造の下、抑圧された存在と連帯するひとつの経路と思います。

・はまむ

てんのうせいがだいきらい。くぃあなあたし、くぃあなあなた。だれもさべつされないせかいには てんのうせいはありません。あなたのはぎしり あなたのささくれ てんのうせいのせいかもね。くぃあなあたしを くぃあなあなたを りようする くにも きぎょうも ゆるさないゾ おこっているぞ くぃあな あたしたち おこっているぞ

・夜生か春や色

「女」をうむ、「男」をうむ。うむうむウムムムウ女(め)。人は人をうむ。性別をうむのはではない。どんな身分の、どんな性の人とセックスして、健康で障害のない人をうませるか。女は政略結婚の道具、うめうめ子をうめ男子をうめ。うめ干しみたいな内臓から、抵抗の無精卵。

シスへテロ中心主義をやめろ。優生思想をやめろ。トランス女性なら? トランス男性だったら? 天皇制を解体し人権侵害をやめさせよう。天皇を天皇たらしめている戸籍制度によって「家」「国民」を統治し、序列がつくられている。本籍地を定めながら、この列島で生まれても外国人。外国人差別をやめろ、どこ出身の誰と一緒に、何人と住もうが自由だ。家父長制の下、子を産み親になること、性別を男女とすること、それらを前提とした正式な家族形態にいることを幸せとすること。これらの誇りを捨てよう。美意識も変革しよう。フェミニズムが手を切らなければならないことは道徳主義とパターナリズム。性道徳は構造化された性差別だ。日の丸君が代を敬愛しない。天皇制を批判すること。戦争責任を問うこと。厳しく取り締まり見下し、「非国民」扱いする。それでも声を上げよう。

これはZINEの予告編です。もっともっと作っていく。声を広げて続けていく。

夜生か春や色さん=東京都千代田区

家族制度を通して国民を管理統制する試み

本山央子さん(アジア女性資料センター)

万世一系、伝統に基づく天皇制というのは、差別の根源で維持するのが難しい。にもかかわらず、時代錯誤的な方向性をもって無理矢理維持しようとしている。そのねらいは何か。

これは単に天皇制の存続が難しいというだけではなくて、私たち一般の人々こそがターゲットにされているのではないかと考えます。

天皇制は「純粋な血統による家族」というフィクションを通して、天皇の支配下にある人々の身体、セクシュアリティ、性の組織化、文化の統制していく装置にほかならない。

戦後はそれが「国民統合の象徴」という美しい名前に変わりました。天皇制は、戦後民主主義や男女平等に生まれ変わったと見せかけているが、家族というフィクションを通して人々を統合しようとする試みにほかならない。皇室典範の改正を通して無理矢理にでも天皇制を維持、存続させたいという政府の試みというのは、家族制度を通して人々を管理・統制していく試みと考えた方がよかろう。いくら夫婦別姓の話が出ても戸籍制度には絶対に手を触れさせないことと連動している。

改憲を目指す自民党の試みにおいて、ターゲットは9条だけでなく、戦後憲法体制の理念的基盤そのもの。個人の人権、自由、家族に関わる24条は、常に常に改憲の策動において重要な位置を占めてきた。24条改憲案は常に9条改憲とセットでアジェンダに上ってきた。家族中心主義は常に、戦後の悪しき個人主義と対比される。日本が戦争体制に向かう中で、国家安全保障の論理が前面化してくる中で、家族を通して人々を統制するという論理が出てくるのは必然かなと思う。

家族というフィクションは生活安全保障を私的責任にしていく上でも非常に重要な役割を果たす。高度経済成長期に作られた異性愛、性別役割分業家族というものは、もはやマジョリティにとっても機能しないものになっている。その中で、だからこそ家族単位で自助をしろという圧力が強まっている。

第三に、不満を吸い取って強化されている排外主義。その核心にあるのが純粋な血統による日本人というフィクションにほかならない。多くの日本人が共有している「日本人」「家族主義」を解体しない限り、天皇制には対抗できない。

本山央子さん=東京都千代田区

戦争責任をうやむやにしてきたのが天皇制のコスト

■菱山南帆子さん(許すな!憲法改悪市民連絡会事務局長)

ずっと憲法運動をやっているが、第1条の天皇制には反対なので、護憲ではなく「許すな!憲法改悪」というスタンスでやっている。

天皇制は最大の人権侵害、最大の性差別だと思っている。完全なる身分制度。こういった中で天皇家の人たちも人権を奪われている。日本維新の会の藤田文武衆院議員は、「幼少期から皇族としての教育を受けなければいけない」「15歳未満で養子を取れ」と言っている。幼少期以降は中傷を受けて養子になることをためらう可能性があるから、と。それは洗脳じゃん、と思う。そんなに天皇制を残したいなら財団法人「天皇制を残す会」でもつくって、勝手にやればいいのではないか。

皇族を離れた女性もひどい誹謗中傷を受けている。女性天皇にしたらいいという意見もあるが、そういうことではない。この制度自体がものすごく問題があることだと思っている。私自身、12年間障害者施設で働いた。障害者がどれだけ天皇制に苦しめられてきたかという歴史がある中で、日の丸の小旗は障害者施設のB型就労支援で作られている。ものすごくグロテスクなことが行われている。

天皇には戦争責任がある。戦争責任をきちんと果たしていくために、天皇制をなくしていくべきだ。戦争責任をうやむやにしてきたのが天皇制のコスト。きちんと戦争に反対し、加害の歴史を見つめるために天皇制をなくしていくべきだ。

菱山南帆子さん=東京都千代田区

沖縄県民が再び日本国家の犠牲にされる構図

基地・軍隊を許さない行動する女たちの会(メッセージ代読)

天皇メッセージをご存じですか。1947年に昭和天皇がGHQあてに送ったメッセージで、沖縄を25年ないし50年、あるいはそれ以上、米軍が統治することが日米の利益になるという内容です。つまり昭和天皇は天皇制を維持し、自身の身を守るために、沖縄をアメリカに差し出した。さる沖縄戦で天皇の名の下に送り込まれた日本軍による沖縄女性の強かんや、敵から貞操を守る手段としての集団自決命令など、多くの犠牲を生んだ天皇の戦争責任のみならず、敗戦後にいたっても天皇は結果的に沖縄県民を苦しめることになりました。それが沖縄で80年あまりも起こり続けている米軍による強かん事件をはじめとするおびただしい数の事件、事故なのです。それなのに沖縄は今、日本の米軍専用施設の70%が押しつけられているのみならず、台湾有事を口実に、南西諸島における自衛隊基地の拡張、日米軍の共同訓練など、まさに戦前の様相を呈しています。法整備を含め、戦争出来る国に変質しつつある高市政権の下で、家父長制の現況ともいえる皇室典範の改正を急ぐということは、またもや男らしい軍隊とそれを支える女らしさのジェンダーモデルが天皇制で再確認され、沖縄県民が再び日本国家の犠牲にされるという構図が見えてきます。そんな非現実的な天皇制、もう廃止しませんか?

100歳「みなさんより天皇の被害を多く受けてきた」

北村小夜さん(『慈愛による差別』の著者、元教員。メッセージ代読)

今100歳の私は、長く生きている分、みなさんより天皇の被害を多く受けてきました。戦前は大日本国憲法下、教育勅語が絶対的な価値を持っていました。私はその教育を受けて軍国少女になりました。親や教師よりも熱心に戦争をする子どもでした。

戦後、失効したと言っても天皇と天皇制が生き残ったために、教育勅語の精神は生き残り、安倍政権下で教育勅語の教材使用を認める閣議決定が出ています。

皇室典範においても同じことが言えると思います。戦前の皇室典範は憲法と同格の特別の法規でした。いま、それは失効し、戦後は別のものになったといいますが、天皇制が生き残り今も続く中で、特別のものとなっています。「静謐な環境」や「国民の総意」という言葉で束ねられることと、私たち一人ひとりの思い、考えは別のものです。

1999年、国旗国歌法の国会論議で、衆議院の公聴会に参考人として出席し、廃案を求める意見を言いました。残念ながら法律はでき、今また国旗損壊罪が作られようとしています。この国の息苦しさの根っこに天皇制があるということを皆さんと共有したい。天皇制は要りません。

中曽根発言「公然としたセクシュアルハラスメント」

小笠原純恵さん(日本YWCA)

YWCAは女性のリーダーシップを通じて公正で平和な社会を実現する国際NGOです。一人ひとりが尊重される「安全な場」という考え方を取っています。日本YWCAはキリスト教を基盤とする女性団体として1905年に、世界的なネットワークの一員として設立されました。アジア太平洋戦争の時には天皇を中心とした軍国主義体制の下で、侵略戦争に協力するという過ちを犯しました。当時の日本YWCAは天皇を神とする国家神道に妥協し、キリスト教団体としての本質を歪めたという経緯があります。そして当時植民地下にあった朝鮮YWCAを日本YWCAに併合し、日本の植民地戦略の一端を担ったという経緯があります。その反省に立ち、戦後は戦争の恐怖と理不尽を体験した人の声を深く受け止め、国際協調のグローバルネットワークの下、非暴力で活動してきた。

天皇制は日本の軍国主義と植民地支配の中心を担ったという事実とともに、制度そのものが家父長制と身分差別を前提としています。2025年に国連女性差別撤廃委員会が指摘した、皇室典範の差別性の問題がありました。それでもなお、中曽根弘文参院議員の発言のような公然としたセクシュアルハラスメント、度重なるジェンダー平等や人権を否定する暴力的なメッセージが繰り返され、正当化されてきている。その根源にあるのも、天皇制そのもののあり方だと思っています。

日本YWCAは、すべての人が等しく尊重される安全な社会を求める立場から声明を支持し賛同しています。

小笠原純恵さん=東京都千代田区

天皇制の解体なくして、クィアの解放、連帯はない

一クィアのフェミニストさん

私はこれまで日本で暮らしてきた中で、天皇制を空気のように当たり前に吸ってきた。元号が当たり前に存在し、天皇をまつる場所がパワースポットとして存在しています。その空気を息苦しく感じ始めたのは、自分のセクシャリティを自覚し、東アジア、東南アジアなど色々な地域のクィアな友人と関わるようになったからです。クィアとしての生きづらさを考えた時にその一端を天皇制が担っていると考えるに至りました。天皇の「臣民」として管理される戸籍制度、それに基づいて強化される家父長制と家族制度が自分の生きづらさと直結していると思うようになった。大人になってはじめて、天皇の名の下で、アジア諸国で行われてきた残虐な行為について知りました。自分が恩恵を受けている国の加害の歴史を知らずして、他の国のクィアたちと歩むなど不可能なことだと考えるようになりました。私は一人のクィアなフェミニストとして、天皇制に反対します。天皇制の解体なくして、クィアの解放、連帯はない。女性天皇を認めるのではなく、天皇制の廃止を求めます。

内面化されたシステムの破壊 「脱天皇制」を

■唐井梓さん(お茶の水女子大学大学院博士後期課程)

さまざまな怒りと不安が私の頭と心の中を駆け巡っています。私たちで「脱天王制」に向かっていこう、そうしていけるという選択肢と確信を共有することで、不安と怒りをパワーと希望に変えることができればと思います。友人たちと話をしていると、日常の中で天皇制を意識することは多くないといいます。ですが、私自身は毎日強烈に、いかに天皇制が日常生活に入り込んでいるかを実感しています。美術館、博物館、資料館で、行政資料で、西暦ではなく元号が使われていること。友だちや周囲の人々が皇族の方々を「さま」という敬称で呼ぶこと。国歌斉唱など。私たちの日々には、何を敬っているのか問われない構造が入り込んでいる。

今年は敗戦から81年。天皇のためにと4人に1人の県民がなくなった沖縄で知事選がある。そして高市政権の下で、日本は大変な混乱を極めています。正直、あり得ないです。大学院でジェンダー・セクシュアリティの政治経済学を学んでいます。しかし、研究が選別を受けた時に真っ先に切られることになる不安と、いざ戦争になったときに、これまで社会のためにと準備してきたさまざまな知の試みが無に帰すことを恐れています。現在は道徳に通じる教育勅語などによって、「国民道徳」がいかにして作り出され、この社会で働いているかに関心を持っている。なぜなら、そのような道徳が国民と非国民の選別を行い、国と国民、市民全体を戦争に巻き込んでいったからです。そしてそのような道徳の根本に天皇制、そして日本軍性奴隷制度を正当化する目的があったのです。

「脱天皇制」は道徳からの解放を含むと私は考えています。それは私たちの不断の努力によって実現されるでしょう。いかに私たちがこのシステムを内面化し、生活に織り込んできたのかを考え続けることなしには天皇制から脱することはありません。そういった意味で、私は反天皇制ではなく脱天王制を掲げています。

「天皇制から脱する」と一度選択肢として言葉にし、感じることができた時、そこから変革が始まると私は確信しています。9条を念頭に護憲が叫ばれる世の中だからこそ、1条から8条はどうなのか。24条の見直しはどうなのか、そういったことを伝えていきたい。強靱かつしなやかで誰も取りこぼさないフェミニズムを実践し続けられるように、日本にフェミニズムを根付かせるためにも脱天皇制を掲げていきたい。脱天皇制、脱帝国主義なしに、フェミニズムの平等はありません。

唐井梓さん=東京都千代田区

社会の中に構造化された暴力や差別の“触媒”

■中野麻美さん(弁護士)

皇室典範の改正や国旗損壊罪は威力を持つ。現実に一人ひとりに対する人権侵害が存在している。私たちは安保法制違憲訴訟で、軍事化は現段階でも、私たちの差別されない権利や暴力を受けない権利、戦争体制に組み込まれない権利を、侵害していると訴えている。皇室典範の改正問題や国旗損壊罪といった動きを見ると、社会の中に構造化されたさまざまな暴力と差別というものに触媒のように絶大な力を与えて、現実の生活を差別と暴力の中に巻き込んでいくんじゃないかという危惧が生まれる。現実に軍事化の中でそういう傾向が起きてきている。単なる考え方の問題ではなくて現実の権利侵害として捉えていく必要があるなと思った。場合によっては損害賠償請求訴訟でも起こしたいぐらいだと思います。

中野麻美さん=東京都千代田区

沖縄の文化を根こそぎ取り上げた天皇制国家にノー

青木初子さん(沖縄ひと坪反戦地主会関東ブロック)

天皇制廃止を求める集会に初めて来た。沖縄は日本と違って天皇制主義ではなかった。1879年、日本が琉球王朝を滅ぼして、徹底した皇民化政策を行った。私もそういう教育をされてきました。太平洋戦争末期、(天皇と国の中枢を避難させる目的で長野県に作られた)松代大本営が完成するまで、沖縄は戦場にされた。沖縄は焼け野原になった。

戦後、母を東京に呼んで皇居の周りを一周したとき、母は「なんでこんなところに一つや二つの家族が住んでいるの? もったいないじゃない」と言った。マンションや都営アパートを作ったらどうか?と。

沖縄から見ると沖縄の文化を根こそぎ取り上げた、それが天皇制国家というイメージです。東京で、式典での日の丸・君が代の廃止を求めて、地域の自治体と交渉をやっている。卒業証書の元号をやめて西暦表記を認めるようにという交渉もやっている。認められないなら西暦との併記をと求めている。

私たちの生活の中に天皇が入り込んでいる。天皇制に対しては沖縄の視点からも絶対に許せない。日常生活の「ちょっとおかしい」の論議を広めて行きたい。

青木初子さん=東京都千代田区