ヘイトスピーチがマイノリティに向けられる現在、虐殺は過去のことではない 関東大震災103周年 朝鮮人犠牲者追悼式典に800人

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関東大震災後に日本人により虐殺された朝鮮人犠牲者の追悼式典。初参加の人は何を感じたか

 関東大震災から103年を迎えた9月1日、震災後の流言蜚語により日本人に虐殺された朝鮮人犠牲者を悼む追悼式典が東京都墨田区の横網町公園で開かれた。約800人が参加し、慰霊碑に花を手向けました。

 慰霊碑は1972年、東京都議会が全会一致で建設を決定。以後、毎年開かれる追悼式典には歴代東京都知事が「追悼の辞」を寄せてきました。しかし、小池百合子都知事は、就任2年目の2017年に取りやめ、今年に至るまで10年連続で「追悼の辞」を送っていません。

歴史的事実から逃げ回る政府

 宮川泰彦・日朝協会東京都連合会会長は「数千人の朝鮮人が、軍隊、警察、普段は善良な市民と思われる自警団によって命を奪われた。人の手によって命を奪われた朝鮮人犠牲者を追悼し、同じような過ちを絶対に繰り返してはならないと誓い、実践するための式典だ。しかし、この歴史的事実から目を背ける動きがある。政府は国会答弁で『政府内に資料がない』という姿勢を示し、調査を行おうとしない。歴史的事実から逃げ回っている。謝罪や補償もしようとしていない」と話しました。

 2008年、内閣府中央防災会議専門調査会は報告書に「関東大震災時には、官憲、被災者や周辺住民による殺傷行為が多数発生した。武器を持った多数者が非武装の少数者に暴行を加えたあげくに殺害するという虐殺という表現が妥当する例が多かった」と記載。犠牲者の数を「震災死者の1~数%」と試算しています。

関東大震災後の虐殺にあった朝鮮人犠牲者の追悼慰霊碑=東京都墨田区

現在も差別や暴力を恐れて生活

 東京弁護士会の石原修会長は「背景には朝鮮人や中国人への無理解と差別意識があった。震災から103年が経過した今も人種、国籍などによるマイノリティへのヘイトスピーチが公共空間やインターネット上にあふれており、現在も差別や暴力を恐れて生活せざるを得ない多くの人々がいる」と指摘。フェイクニュースが横行する中で、正確な知識と事実認識を持つことが必要だと強調しました。

初めて参列した人たちも

 献花の列の中には、初めて追悼式に参加した人もいました。

 ソーシャルブックカフェ「ハチドリ舎」店主の安彦恵里香さんは広島から参加しました。昨年8月15日に韓国・釜山の日帝強制動員歴史館を訪れ、日本人として恥ずかしいと思い、日本のかつての植民地政策に責任を感じたといいます。「責任を感じない人もいるだろう。感じるべきだとまでは言い切れないが、感じてほしいと思う。虐殺された方々を想像し、改めて怖かっただろうなと思った」と涙ぐんだ。

 大阪から来た女性は黒地に白抜きで「多民族都市東京」と書かれたTシャツを着用していました。都内で育ちましたが、東京を離れた後の2016年ごろに加藤直樹さんの著作で虐殺を知りました。「都民だったのに知らなかったことを恥ずかしいと思い、いつか慰霊碑に来なければと思っていた。10年越しでやっと来られた。この場に立つと虐殺がより自分ごとになった感じがする」

indigoさん=東京都墨田区の横網町公園

 都内在住のアーティストindigoさんは「小池百合子は9/1に追悼文を送れ」というプラカードを手に献花しました。2024年の都知事選の街宣で使い始め、昨年からは旧四ツ木橋など虐殺の現場に行って、プラカードを掲げて写真を撮り、同じ文言のハッシュタグを付けてXに投稿を続けています。

「地方からも呼応する動きがあり、広がりを感じている。自然災害で亡くなった人と虐殺で亡くなった人を一緒にするのが許せない。現在の外国人に対する差別意識の蔓延に繋がっていると思う」と話しました。