【動画あり】審議入り目前の共同親権 子どもたちの意見は…… 「僕たちにメリットない」「両親の伝言役でメンタルダウン」

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共同親権、子どもたちの意見は?

4月の国会審議入りを前に、離婚後共同親権を含む民法改正案について、ひとり親当事者や支援者が3月29日、国会周辺で集会を開き、廃案を求めました。主催は「離婚後共同親権から子どもを守る実行委員会&#ちょっと待って共同親権プロジェクト」です。

法案は、すでに離婚した人も含め、離婚後の共同親権に道を開くものです。協議離婚で両親が合意した場合や合意がなくとも裁判所が認めた場合に、子どもの養育や契約について、父母双方の同意が必要になります。また親権に含まれる子どもの居所指定権を双方が持つことになるため、DVや虐待から避難するために別居した親子が、加害親から逃れられなくなる恐れが指摘されています。

子どもの意見表明権、保障せず

さらに問題なのは、親権を誰が持つのがいいのかについて、子どもの意見表明権が保障されていないということです。

2023年4月施行のこども基本法は、「こどもたちが年齢や発達の程度により、自分に直接関係することに意見を言えたり、社会のさまざまな活動に参加できること」を基本理念としています。

一方で、今回の法案では、父母の責務について定めた条文の中で「父母は(中略)子の人格を尊重する」と書かれているのみです。法制審議会では、「子に父母のどちらかを選ばせるのは酷だ」という反対意見が強く、子の意見表明権は入らなかったのです。

現在、単独親権下でも、家庭裁判所では15歳以下の子どもの意見は聞いてもらえないという制約があります。

こうした中、ひとり親支援団体などがウエブ上で共同親権についての子どもの意見を募集しました。

集会や事前の記者への説明会で、その一部が紹介されました。

正直、子どものためにこの制度を作るのであれば、反対意見しか集まらないと思います。そもそも離婚して共同親権でうまくやっていける家庭は離婚なんて初めからしていないと思います。上手く出来なかったから離婚したのに、なぜ共同親権になるのですか。法案を決めた国の人は何も分かっていないと思います。もし共同親権になれば突然の事故や病気などで手術が必要になったとき、手術が出来ずに死んでしまう子どもがたくさん出て来ると思います。それでも本当に子どものためなのでしょうか。この制度は子どもに死ねと言っているのですか?(22歳)

これ僕たちにデメリットしかないのでは? 何かにつけて両親の許可が必要って面倒なだけ。何か提出するのに期限に間に合わなかったら国は責任取れます? いまは1人の親権者のサインでいいのに、共同親権になったら面倒だし、誰も得しないじゃないですか(16歳)

僕の両親は離婚調停が不成立になって、今離婚裁判中です。父は自分が理想と思う進路以外は絶対に認めない人です。小学校も中学校も行きたくないところに無理矢理行かされて不登校になりました。将来の夢も否定されて邪魔されました。母が僕を連れて出てくれたおかげで高校は好きなところに進むことが出来てとても幸せです。大学も好きなところに自分で決めて行く予定です。共同親権になると好きな進路もやりたい夢も全部、父に邪魔されると思うと怖くて仕方がないです。もう父に支配される人生に戻りたくありません(16歳)

パパがママに殺すと言ったり、夜中に酔って暴れて殺されそうになって逃げたり。自分もパパから首をしめられて施設に入って、それでカウンセリングも受けつづけているので、共同親権になるぐらいなら死んだほうがマシです。パパからまともな意見や許可がもらえるとは思いません。逃げて生きていくのだけで精一杯なのに、居場所を探されたり、引っ越ししたり、いやだけど転校もしたりしています。それなのにさらに手続きが大変になると困ります。パパにはもう会いたくもないのに、これ以上めんどうになることをしないでください。おねがいします(12歳)

会いたくないおとうさんに、むりやり会えと言われてもたのしくない。子どもには子どものくらしがあるし、子どもの意見を聞いてくれない法律はいらないです(6歳)

うちは、父から私への虐待があったので、母と私が家を出たのに、まだ面会したいと言ってきたり、離婚させてくれなかったりしているようです。私は絶対にもう会いたくないのに、共同親権の事でもめたら、お母さんが可哀想です。裁判の資料をつくったり、裁判所に行ったりで、すごく大変そうで、もう、早く終わらせて欲しいです(12歳)

共同親権には反対です。お父さんとお母さんが離婚前の別居中に、僕の手術が必要になった時、お父さんが嫌がらせでサインしてくれなかったとききました。病院にお願いしても両親のサインがないと駄目だと言われて数ヶ月手術が延びたそうです。世の中は子どものことを考える優しい父親だけではありません。自分の利益やよその女の人のことしか考えない父親もいます(9歳)

離婚時に兄の私立高校を辞めさせろと父から児童相談所に要請がありました。理由は養育費がかかるからだそうです。当時、兄は荒れていて児相が相談に乗ってくれていました。今、私は私立高校に通っています。母はやりくりをし、私も奨学金を受けて通っています。離婚の時の父の兄への対応が怖く、通っている高校も住所も父には教えていません。父は離婚前に兄や私の進学費用を使い込み、祖父の年金も使っていました。父は大きな会社のエライ人だったため、私たちの言い分はなかなか信用されません。母は父の会社の人にいじめられました。私は大学に進学したいと思い、勉強も頑張っていますが、父に『大学なんて行くな!』と言われたら行けなくなるのではないかと心配しています。共同親権になったら今の高校も続けて通うことが出来るか分かりません。どうか助けてください(16歳)

「私が中2の時に両親が正式に離婚しました。原因は父の精神疾患で、暴力や暴言、家に帰って来ないなど様々な困りごとがありました。私のスマホの名義は父が持っていたので、名義変更のために3年前に一度父と会いました。その後も「会いたい」と言われたのですが、大学や就活が忙しいと言って断っています。本音をいうと、父とはなるべく関わりたくありません。
共同親権はすごく悪い制度だとは思っていませんが、導入に際しては子どもの意見を聞く必要があると思っています。
離婚した両親を無理に関わらせるとなると、子どもが伝言や仲介役を果たすことになり、子どものメンタルヘルスに悪影響が出ると思っています。私の場合は父が正常な判断ができないから離婚となったのに、共同親権によって、そういう人が判断に関わり続けることになり、振り回されるのはいやです。両親のどちらとも関わりたくなくて、家出をする子もきっと増えると思います」(21歳)

別居親が子どもの手足をしばる鎖

離婚後の親子の面会交流を子どもの立場から研究してきた元家裁調査官で、和光大学の熊上崇教授は、現在議論されている共同親権に否定的です。集会では共同親権の内実について、次のように話しました。

「共同親権は『離婚後もパパもママも子育て』というものではありません。子どもの進学や医療、転居などに父母双方の合意がいる。すなわち別居親が子どもの手足を遠隔でしばる鎖と私は考えます。双方の合意がなければ、学校に行くことも手術を受けることもできなくなる。法案は、日常の行為は単独で判断できるとしていますが、何が日常行為なのかは不明です。たとえば塾や習い事の契約はどうなるのでしょうか? 一方が契約し、一方が勝手に契約解除すれば、子どもは安定して通うことができなくなります。子どもをいじめる法案としかいいようがありません」

熊上教授は、法案に子どもの意見表明権が盛り込まれなかった経緯について触れ、「私たちのことを私たち抜きで決めないでというのが障害者解放運動の合い言葉でした。共同親権も同じです。子ども達のことを子ども抜きで決めないで。共同親権は子どもを不安に陥れます。過酷な家庭に生きている子ども達の切実な声を聴いてもらいたい」と述べました。

加害者と会うことで子どもの回復が遅れる

続いて公認心理師、臨床心理士の工藤宏子さんが、DV家庭に育った子どもの心のケアについて解説しました。

DV被害で転居したA君は、妻子を探し回っていた父親と偶然会ってしまった後、外出恐怖や人混みでのパニック発作、父の車と似た車を見ると怖がるようになりました。二度と父親に住所が知られないように支援者が細心の注意を払い、安心・安定な環境に置くことで、2年間かけて、少しずつ症状が軽減していったといいます。

「大事だったのは、父親と二度と会うことはないという保障です。実際に会うことがなく、普通の日常生活が過ごせたことが治療としての転機となった。共同親権で子どもが虐待や面前DVの加害者と会うことになってしまうと、子どもの精神的安定は得られないままになり、今以上に情緒不安定の子どもたちが増えると考えられます」

また、加害親との面会交流の機会が増え、子どもの性被害、虐待、心中の危険性も増すと警告しました。

一見、円満に行われているように見える面会交流の場面でも、加害者との交流は子どもの負担になるといいます。

「子どもに復縁の手伝いをさせる。母親との伝言役に使う。携帯買ってあげる、お金をあげるなどの甘言や脅しで、片親の要求を通す手伝いをさせられる。これは子どもにとって大変なストレスです」

DVを目の当たりにした子どもには、食欲不振、不眠、チック、頻尿、自立神経症状、成長障害などの身体症状が出ることがあります。ほかにも母子分離不安、落ち着きがない、いらいらする、ぐずる、怖がる、夜泣きなどが見られます。一見元気そうに見えても、心を守るための「躁的防衛」であることもあります。

工藤さんは「面前DVの被害を受けた子どもが、その後も加害者と交流が続くのはよくない。実は不登校や家庭での子どもの暴力など多くの問題の影にDVの影響がある。安易な加害親との面会を促進させるリスクの大きい共同親権が、日本全体の子どもにもたらすリスクは計り知れない」と話しました。

転校許されず 父の家は「40㌔先の物置」

かつて離婚家庭に育った子どもだったという大人からの意見も紹介されました。

私は親が離婚し、自身も離婚したシングルマザー、ふたつの観点を持っているものです。共同親権を考える上で大事なのは、親権を持っていない親がどんな親だったかだと思います。現在親権を持っている親もですが、虐待、不倫など心身ともに子供を傷つける親、世間体を気にして親権を持ちたい親……そういった親がいるという観点から、ちゃんと見るべきです。15歳未満だからと子供の意見は無視されがちですが、子供の意見も聞いた上で、親権を誰がどのように持つかを決めるべきです。共同親権になったら、子供にいつでも会える?進学先にも携われる? 離婚って、そこに至るまでに長い経緯があるはずです。離婚したら当たり前のように共同親権になるというのは恐ろしいです。何歳であれ子供の意見に耳を傾けて、周囲にどんな親だったかも聞くのも、親権を決める上で大事だと思います。子供から人権を奪わないで(24歳)

かつて子どもだった40代女性です。私が物心がついた頃にはすでに、父は毎日母を罵倒し、暴力を振るい、家具家財を破壊し、自分が一番家の中で偉いと言っており、私は父が大嫌いでした。 幼稚園の頃には、母はたびたび『お母さんと一緒に死んでくれる?』と私に問いかけ、私は「いいよ」と都度答えていました。私は川に飛び降りて死ぬのだと腹をくくっていました。小2のとき、父母は離婚調停中で別居していましたが、父が転校を許さなかったので、私は別居先から毎日始発電車に乗って通学していました。毎朝5時前に母に起こされ電車に乗り、一度父の家にランドセルを受け取りに行き、帰りもランドセルを父の家に置いてから帰宅していました。とてもしんどく、学校に行きたくありませんでした。父の家に出入りしても、父は私のために何もしてくれず、父の家は『40キロ先の物置』でしかありませんでした。父が転校を許さなかったのは、嫌がらせでしょう。しかし、誰も父を咎めませんでした。大人は無茶苦茶だ、子どもの事なんかちっとも思いやってくれない、と思っていました。 別居後も毎日「今日こそ父が死にますように」と神様にお祈りをしていました。共同親権が導入されたら、DV被害者は逃げ場を失い、監護親は責任感で子と心中すると思います。それしか苦しみから逃れる方法がなくなりますから。離婚しても逃れられません。離婚済みの方が共同親権になれば、私の父が嫌がらせで転校を拒否したのと同じことをやって、子どもが苦しみます。不登校も増えるでしょう。 正義感で子どもを守ろうとしたら学校管理者は別居親から訴えられることになるでしょう。だれも子どもを守らなくなります。 父親の死を神様に祈ることで、私は自分の心が壊れても衝動を抑えていましたが、どうしようも無くなり、別居親を殺害する人も出てくると思います。 共同親権に大反対です。死者が続出することは確実だと断言します

700人が集会に参加、関連ポスト4万件超

午後6時からは国会正門前で、ひとり親当事者や支援者、弁護士、司法書士、国会議員らによる集会、「#共同親権を廃案に」が開かれました。700人が集まり、「共同親権今すぐ廃案」「加害者喜ぶ法律いらない」などと唱和し、プラカードを掲げて共同親権に反対の声を上げました。同時刻にツイッターデモの呼びかけもあり、「#共同親権を廃案に」「#STOP共同親権」「#れっつ炎上共同親権」の3つのタグをつけた投稿は合計4万件を超えました。


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