【動画あり】共同親権 「なぜ恐怖を訴える声が届かないのか」

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共同親権を強制されるのは怖い

共同親権の導入を可能にする民法改正案。議論の場は参議院に移りました。

この改正案では、離婚するときに父と母で共同親権にするか単独親権にするか協議し、合意できない場合は、家庭裁判所が強制的に共同親権を命じられます。DV被害者らは、自分の意思だけでは拒否できないことに恐怖を訴えています。

5月7日の参議院法務委員会では、専門家たちが参考人として呼ばれ、東京都立大学の木村草太教授(憲法学)は、「参議院議員の皆様は、被害者の声を無視して、差別し嘲笑する側につくのか、子どもが適時に決定を得られる権利と被害者が安心できる環境を得られる権利を守る側につくのか」と訴えました。

まずはこちらの動画(2分19秒)をご覧ください。

東京都立大学教授の木村草太さん(憲法学)が強調するのは、今回の民法改正案では、父母の一方か双方が「共同親権にしたくない」と言っても、裁判所が強制的に共同親権を命じられる、となっていることです。

「衆議院では、合意がある場合に限定する修正案が検討されました。しかし衆議院多数派は非合意強制型が必要だと譲りませんでした」
「今回の民法改正法案には、子どもたち自身を含む家庭内アビューズ(虐待)の被害者から、“この条文では安心できない”“再び加害者との関係を強制される”という不安と恐怖の声が上がり続けてきました。被害者を安心させるのは簡単です。合意型の共同親権に限定すればよいのです。しかし、(法案制定・審議の過程で)被害者の声は切り捨てられ続けてきました」

その被害者の声。DV被害者を支援する「全国女性シェルターネット」共同代表で、NPO法人「女のスペース・おん」の山崎菊乃さんもDV被害の実態を話し廃案を訴えました。

「共同親権制度はDV防止法を無力化するものです。この法律が成立してしまったら現場はどうなるのでしょうか」
「加害者のなかには、加害意識は全くなく、自分を被害者だと心から思っていて、自分のもとから逃げ出したパートナーに対する報復感情を強く抱く人が多いということを、皆さんに知っていただきたいです」

また、不本意に共同親権にするということが想定できるなか、裁判所は本当の合意をどう見抜くのかと強い危機感を示しました。

4月、衆議院の法務委員会に参考人として呼ばれたDV被害者の斉藤幸子さん(仮名)の訴えも併せてお読みください。

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