“共同親権法案”が、5月16日、参議院の法務委員会で賛成多数で可決されました。
審議の中で次々と明らかになる法案の不備、また、「なぜこの法律が必要なのか」さえ見えないことから、DV被害者や虐待を受けた子どもたちの不安の声は高まる一方でした。
そして、16日の採決直前の審議。小泉法務大臣らが、「(法案で影響受ける人数は)お答え困難」「今、初めて伺った」など、他人事のように答える場面が相次ぎました。
まずはこちらの動画(2分20秒)をご覧ください。
ご覧いただいたのは採決直前の審議でのやりとりです。最高裁の馬渡直史・家庭局長と法務省の竹内努・民事局長は、この法律がどれだけの人たちに影響を及ぼすものなのか把握していないと答えました。
また、DV被害者の「証拠が残っておらず時間も経っている場合、裁判所で被害者だと認めてもらえるのか」という懸念の声にどう答えるかを問われ、小泉法務大臣は、「真剣に身に起こったこと、過去のことをお話されれば、裁判所に通じると思うんですよね」と答えました。根拠が見えない答弁です。
離婚後に共同親権となった場合、両親の”同意”がそろわなければ、子どもが適切な医療が受けられなくなる恐れが指摘されています。共産党の山添拓議員は、2021年、3歳の娘の心臓手術について説明や同意の手続きがなかったとして、離婚前別居中の父親が滋賀医大を提訴し一部勝訴したケースを例に挙げて、「離婚後共同親権でも起こり得る問題です。大臣はこの裁判、どうお感じでしょうか」と質しました。これまで、国会審議でも報道でも取り上げられてきた裁判です。小泉法務大臣の答えは、「ちょっと、今、初めて伺った」でした。
同意がなくても裁判所が「共同親権を強制できる」改正案。DVや虐待の被害を受けてきた人たちは、「自分たちの命や生活はどうなってしまうのか」と恐怖を感じています。こうした当事者の声に真摯に向き合った審議だったと言えるのでしょうか。民法改正案は17日、参議院本会議で採決される見込みです。