腹の底からマグマが燃えあがるような思い 駐沖米軍による性暴力を受け嘉手納基地前でフラワーデモ

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米軍の性暴力に抗議する沖縄の声を聞いたよ

 沖縄に駐留する米軍人による性被害が日本の政府によって隠蔽され、沖縄県に伝えられていなかった問題で、女性たちの抗議が全国各地で広がっています。現地の沖縄の様子について、ライターの下地由実子さんによる寄稿です。

私たちの少女の尊厳を返して

 沖縄に駐留する米軍人による少女らへの性的暴行事件が相次いで明らかになり、性暴力の根絶を訴えているグループ「フラワーデモ in KOZA」が6月28日夕方、米軍嘉手納基地の第2ゲート前、コザゲート通りで緊急にサイレントスタンディングを行いました。参加した人たちは、基地に向かって、黄色やピンク、水色などさまざまな色の花を掲げ、被害に遭った女性たちに思いを馳せるとともに、事件に抗議する意思を示しました。

 嘉手納基地(沖縄市、嘉手納町、北谷町)には、16歳未満の少女を誘拐して暴行したとされる空軍兵長が所属しています。

 「フラワーデモ in KOZA」は2022年12月から毎月第4金曜日に行動を続けていて、この日はこれまでで最も多い約100人が参加しました。

 「Give back Our girl’s Dignity(私たちの少女の尊厳を返して)」

 主催する女性はボードを手に、悲しみと静かな怒りを込めて、こう呼びかけました。

私たちの愛する姉妹の尊厳が引き裂かれました。
またです、また。
基地が集中する中部地区において、このような事件が、犯罪が、頻発していることにどうしても黙っていることができませんでした。
やむにやまれぬ思いです。
一昨日、SNSで参加を呼びかけました。沖縄最大の暴力装置である嘉手納基地に向かって、思いを届けたい。
私たちの怒りは、米軍だけに向けられているのではありません。半年もの間、県民に、県に(事件を)一切知らせることのなかった日本政府、沖縄県警にも私たちの憤りが向けられています。
なぜ知らせなかったのか。
なぜ一言も謝罪を述べないのか。
腹の底からマグマが燃え上がるような思いがします。
被害に遭った方、ご家族の方に思いを馳せたいと思います。
そして、これまでの私たちの取り組みはどうだったのか。
これからどうやって暴力を廃絶するのか。
そのことについても考えたい。
静かに整然と行動を行いましょう。

「被害に遭った子は絶対に悪くない。100%やった方が悪い」と訴える女性=沖縄県沖縄市

続々と明らかになる性暴力

 コザゲート通りは、第2ゲートを起点とする沖縄市の中心市街地にあるメインストリートです。レストランやミュージックバーなどアメリカ文化の色濃い店が並び、米軍関係者も多く訪れます。この日も、デモのそばを米軍関係者が運転するYナンバーの自動車が絶え間なく通り過ぎました。

 事件は、デモの3日前、6月25 日に明らかになりました。嘉手納基地所属の空軍兵長が昨年12 月、16歳未満の少女をわいせつ目的で誘拐、暴行したとして今年3月に起訴されていたと報道されたのです。直前の6月23日の沖縄慰霊の日には、岸田文雄首相が沖縄を訪れ、沖縄戦の戦没者追悼式で基地の集中について「重く受け止め、負担の軽減に全力を尽くしていく」とあいさつしたばかりでした。

 さらに、デモが行われた当日の6月28日には、今年5月に女性暴行事件を起こしたとされる海兵隊員の逮捕・起訴と、1月にも別の海兵隊員が逮捕され不起訴になっていたことが報道されました。

 いずれの事件も沖縄県警は発表せず、米軍や日本政府も情報を沖縄県に伝えていませんでした。日本とアメリカは1997年に米軍による事件や事故に関する通報手続きに合意し、米軍から日本の外務省や防衛省へ、防衛省から沖縄防衛局へと伝えられ、さらに沖縄県や市町村に連絡することになっています。

 半年間も地元に知らせなかったことに、デモに参加した人たちからは、日米の両政府や沖縄県警に不信の声が上がりました。

なぜ黙っていたのですか

 ある女性は「なぜ黙っていたのですか。選挙(※6月16日沖縄県議選)があったからでしょう?私たちは誰に守ってもらえばいいのですか。沖縄はいつも下に見られている。こういうことを、他の都道府県でもしますか?良心に深く問いかけてほしい」と話しました。

 1時間以上に渡るスタンディングで最後のスピーカーは中学1年生の男子生徒でした。

「お母さんと来ました。なんで沖縄の人だけがこんなことをされないといけないのですか。なんで警察は嘘をつくんですか。なんで基地はなくならないのですか」 

米軍・嘉手納基地に向かって花を手にして、米軍人による性犯罪に抗議する人たち

県議会も抗議決議と意見書可決へ

 デモの後、沖縄では7月4日にも、米海兵隊員が女性の胸を触ったとして現行犯逮捕されました。日本政府は5日、捜査機関が公表していない事件も今後は沖縄県などの地元自治体に伝える方針を示しました。しかし、米軍人による性犯罪がやまないことに、県内では各地で抗議集会が開かれ、抗議の声を挙げる動きが広がっています。

宜野湾市や石垣市、嘉手納町などの市町村議会は抗議決議を可決、県議会の特別委員会も4日に抗議決議と意見書を採択し、10日の本会議で可決される見通しです。

下地由実子(しもじゆみこ) 

ライター。2012年から24年まで沖縄タイムス記者。公文書管理や新型コロナウイルス対策、沖縄振興を取材。関心がある分野は情報公開、メディア。

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