「女の価値を産む産まないで決めるな!」 参政党代表の街頭演説に抗議する全国一斉アクション

記者名:

全国の女性たちがつなぐ声。「産む産まないは私が決める」

参院選告示日、参政党の神谷宗幣代表は東京・銀座で街頭演説し、少子化対策に関し「今まで間違えたんですよ、男女共同参画とか」「高齢の女性は子どもが産めない」と発言しました。

その発言に抗議する全国一斉抗議アクションが各地で行われています。参加者から写真やご発言の提供をいただき、タイムラインで紹介していきます。(随時更新します)

▶7月6日17:00 横浜・JR桜木町駅前

150人が参加。

呼びかけ人の弁護士、武井由起子さん

女性を一人の個人として尊重するのではなく、女性の生殖機能を国家の道具にするという考えに基づく女性差別、産む産まないの自己決定権を侵害する発想や政策に抗議する人たちが、性別を問わず大勢集まってくれています

弁護士の太田啓子さん

男女共同参画があったから少子化になっている? 神谷氏は、女性は高等教育を受けずに子どもを産み育てるという考えを、女子高校生にライフプランとして教えるとも別のスピーチで言っています。性別役割分業意識、「男は稼ぎ、女は家事・育児」というのを押しつけようとしている。とんでもないと思ったことには声を上げて怒りを表明しないといけません。

家登みろくさん

 私は、20年前に大学を卒業して会社に入ったとき、過労で働きすぎて体を壊して、体重が39キロまで落ちて、その後なかなか体力が戻らず働くことができませんでした。アルバイトで生活をつないできました。普通の生活もままならない。育児なんかできないと子どもを持つことを諦めて42歳になりました。知人が子どもができたよ、2人目ができたよという声を聞くたびに羨ましいという気持ちがあるんです。心の中で羨ましいという気持ちが消せない。時には、私は我慢しないといけない、ずるいよという気持ちまで出てしまうけど、それはずっと押し殺して、自分の運命だと思って、子どもがいない生活、どんなふうに暮らそうかって考えて生きてきた。猫を飼ってますけど、私がうつ伏せに寝てる時に背中に乗ってきた。ちょっと重い子なんで、子どもをおんぶするって今のこんな感じなのかなと思ったら、ちょっと涙が出てきてしまった。私が諦めた子育て、子どもが欲しくて持てない人だっている。産めなかった人、産まなかった人を、参政党はファーストに入れないんじゃないかと思ってる。彼らが望んでいる人間がファースト。産まない女性、産めない女性は優先順位を下げられていく。それが差別構造だと思う。産め産めという圧力に対して腹立たしく悲しく思っているけど、そのほかのあらゆる、彼らが望む日本人から外れた、セカンド、サードに入ってしまう人を代表して、私は声を上げたい。

 人間にファーストもセカンドもない。参政党には賛成できない。女の価値を生む産まないで決めるな。声をあげていきましょう。

▶7月9日17:00 京都市・JR京都駅前

澤田季江さん提供

▶7月10日18:30 東京都中野区・JR中野駅前

土砂降りの中で決行。

◇ジャーナリスト林美子さん

リベラルを自称する男性が、排外主義批判はいいけれどフェミニストが騒ぐとかえって人々に聞かれないとSNSでコメントしているのも見かけました。フェミニストが嫌いなのはあなたでしょと言いたくなった。ジェンダー、人種、国籍、民族、障害のあるなし、貧困、居住地域による差別、全てはつながっている。差別や新自由主義、自己責任論といった構造が根っこにある。必要なのは、上から目線で課題ごとに分断することではありません。私たちには様々な違いがある。考え方だって色々ある。でも人権が私たちの生活と人生において最も基盤となるものです。様々な違いで分断するのではなく、差異を力に変える。私たちのパワーの源は、みんながそれぞれ違う属性や背景や人生を持っていることにある。そういった違いを私たちのパワーに変えていく。それがいま、一番必要なことだと思います。

◇フリーランスライター岩崎眞美子さん

参政党の訴えていることは全部自分たちが決める側だと思っている人の意見です。怪しい人がいるから排除しようとか、自分が産むわけじゃないけど女の人には産んでもらわないと困るとか。自分が排除される側になるとは一切想定していない人の言葉が並んでいます。参政党、ちょっといいなと思っている人には、自分がいつ排除される側になるかわからないということを丁寧に伝えてほしいと思います。職場に在日コリアンの女性がいます。税金も払って働いていて、でも選挙権はなくて。具合が悪くて医者にかかっても、このお医者さんが外国人が嫌いだったら、本当のことを教えてくれるだろうか、と思うそうです。彼女たちがいま、どんなに不安な気持ちで暮らしているかを周囲の人に伝えてください。そして一緒に考えてください。

ヘイトスピーチをゆるさない中野 川名真理さん
参政党に対して私がいちばん怖くてやめさせたいと思っているのは、差別です。参政党は「日本人ファースト」と言って、日本にいる外国人は特権があるかのような嘘の言説を振りまいて、日本から排斥するようなことを言っていますよね? 今ここで、私たちの街宣をずっと頷きながら聞いていた男性がいたのですが、その方はベトナム人留学生だそうです。参政党についてよくご存知で、すごく憤っていらっしゃいました。日本にいる外国人に肩身の狭い思いをさせてはいけないし、デマやヘイトは日本社会を壊します。参政党で何が怖いかと言ったら、それを支持している人が多いということです。排除の言説に人々が「そうだそうだ」と乗っかることで苦しい気持ちがすっとする、差別・排外主義に乗っかると気持ちいいというような人たちがかなりの割合いるということが本当に怖いです。社会が差別・排外主義に本気で取り組まなかったことが、参政党を台頭させる素地を作ってきたと思います。デマやヘイトを前に「中立」の立場をとるのはやめてほしい。それは加担と同じです。デマはダメ、ヘイトはダメとはっきりと言って、ファクトチェックをしてほしいです。みなさん、デマとヘイトの参政党に投票してはいけません。

▶7月11日18:00 京都市・四条烏丸

手書きのプラカで「僕は日本語できる在日外国人です。【優遇】を聞いたことあれば、どうか事実を知ってください」と掲げた男性も。

澤田季江さん提供

▶7月11日19:00 大阪市・淀屋橋、大阪市役所前

80人が参加。直前までの大雨が止み、「晴れ女」効果を名乗る人も。

日本航空不当解雇撤回裁判原告団・神瀬麻里子さん

私がJALに入社した時、結婚後乗務は認められていたが出産後乗務は認められていなかった。それが可能になったのは1979年のこと。それからたくさんのママさんCAが生まれていった。私は子供を持たない人生を選んだけど、同僚にママさんがたくさんいることが嬉しくて、とても心強かった。子供を産めやら仕事を選んでも良いとか、女性の生き方に対して物を申すな!私たち女性は自分で人生を選ぶ。それを助けるのが政治の役目じゃないのか? アメリカファーストとか日本人ファーストと言う考え方もおかしい。みんなが一番、みんなが大切。一人一人の生き方が大切にされる、そんな世の中に私はしたい!

◇映画パブリシスト岸野令子さん

私自身が高齢者であり、子どもも産んでいないので、こんなこと言わせて許せんという思いで参加しました。どうせなら自分の言葉でプラカをあげたいと思って「子なし、シングル、76才。自分で選んだ人生や」と書きました。神谷の言動は、女性を選別するだけでなく、障がい者や性的マイノリティを差別することとつながるし、外国人排斥にもつながると思います。

▶7月12日10:00 東京都・JR吉祥寺駅北口

100人が参加。

作家の石原燃さんメッセージ全文

十分な性教育もせず、妨げとなっている法律や医療制度も改善しないで、社会に深く根付いた差別や偏見も放置して、ただ「産ませようとする」。それは、女性蔑視であり、人権の否定でしかないのです。

私は、特定の発言の一つ一つに反応しているのではありません。問題なのは、参政党が掲げている政策全体と、その根底にある差別的な思想です。だからこそ私はそれを強く批判します。そして忘れてはならないのは、このような生殖への国家の介入は、参政党だけが行おうとしているのではないということです。現政権もまた、すでに国家政策として、生殖への介入を進め始めています。だからこそ、それをさらに後押しする参政党党首の発言に、私は強く抗議します。

私たちはもう声を奪われない。そしてこれからも、声を上げ続けます。

▶7月12日16:00 東京都葛飾区・新小岩

差別に反対する市民の街頭アクション。50人が参加。

参加者の報告

通行人への冷静なアピールや対話を心がけ、外国人差別の根拠のなさ、人権規定のない参政党の憲法案の問題点などをマイクを使って丁寧に伝えました。

▶7月12日17:30 川崎市・JR川崎駅前

100人が参加。

団体職員の杉山佳寿子さん

少子化は男性と同等に女性が働いたから、という発言にショックです。出産後も都内に変わらず働きに行っていました。やりがいがあり、働き続けたいと思ったからです。でも育児時短の中で自分のすべき仕事をしなければいけない。子どもが熱を出したら、夫の職場は理解が得られないから自分が休む。職場に謝り続ける。仕事はなくならないから、さらに追い込まれていく。眠れなくなり、大好きだった仕事も苦痛になって退職しました。自分に子どもがいなかったらと思ったことも何度もあります。自分に自己嫌悪で、子どもにも申し訳なく思いました。育児が楽しくない、子育てが罰と感じられるのは、男女平等が進んだからではなく、ジェンダー不平等だからです。産むのも産まないのも、結婚するのもしないのも、他人が、国家が決めることではない。私が決める。

会社員の知念美月さん

子どもを産みたくないと思っている女性として怒っています。神谷の発言は、要は国の政策として、女性の意思決定を、人生を、国の都合でコントロールしたいだけです。ふざけんな。政治が変えるべきは女性の人生ではなく、画一的な働き方をさせている社会です。国はプレコンセプションケアを若い女性に奨めていますが、女性が無知で、無計画だから少子化が進んだんですか? そもそも妊娠・出産は計画できるものじゃない。それをさせようというのは国の都合でしかないと思う。個人の幸福を考えていない。詩人の藤波玖美子さんは言いました。「もし出産をしないとしてもそれは経験の欠如ではなく、欠如の経験だ」と。私は欠如の経験がある人生をこれからも愛していきます。

▶7月12日18:00 秋田市・JR秋田駅西口

 数人でサイレントスタンディング。(撮影:Futaba Sato)

▶7月13日10:00 京都市・御射山公園

澤田季江さん提供

▶7月13日18:00 神戸市中央区・三宮マルイ前

100人が参加。

作家のアルテイシアさん発言全文はこちら

怒ってますか~? 女の価値を産む産まないで決めるな!と大きな怒りの声が上がってます。なぜか?私達は子供の頃からずっと「女の子はいつか赤ちゃんを産むんだから」「あなたもいつかお母さんになるんだから」勝手に決めつけられてきた。女は子供を産むべき、子供を産んで一人前、女の幸せは結婚出産、独身で仕事ばっかりして可哀想、好き勝手に生きてワガママだ、子供産まないでどうするの老後が寂しいよ、とか… やかましわ!!産む産まないは私が決める!私の幸せは私が決める!他の誰かに、ましてや国家に決められてたまるかよ! 私たちはそんな抑圧にずっと苦しんできた、その苦しみを若い女の子たち、これからの女の子たちに引き継ぎたくない、だから怒ってるんです。

東灘ジェンダーしゃべり場の女性

We are here to say No to sexism and racism, and also to candidates who are racists and misogynists. If you know any Japanese voters, please make sure not to vote for any racists, any misogynists, or any haters who dismiss the life quality of people in weaker positions.

中学校教員の平井美津子さん

今年戦後80年。いろいろと戦争について考える年です。80年前の子どもたちは男の子たちは戦場に行きました。だんだん戦争が長引いて兵隊たちが足りなくなったら、沖縄では16歳や17歳の男の子まで鉄血勤皇隊に入りました。女の子たちはひめゆり隊という、戦場の看護助手をしなければならなくなって、多くの子どもたちが戦場で亡くなりました。

神谷さんは憲法を変えようとしています。戦争ができる国にしようとしています。1人3人産んだ、その子どもたちは明らかに戦争に行かされる、戦争で利用されることになるのではないでしょうか? 私はこの発言は、国家が人の人生に踏み込んでくる、子ども作れ、そしてできた子どもたちをまた国家のために利用しようとする、80年前の悪夢の再来だと思います。女性の生き方も男性の生き方もすべて国家が決めていくぞという宣言に等しいと思っています。みなさんには、ぜひ賢明な判断をしていただきたいと思います。

▶7月14日 緊急アクションが実施状況を発表

「全国一斉 #参政党神谷代表に抗議する緊急アクション」の呼びかけ人、太田啓子さん、武井由起子さんがアクションの実施状況を発表。

7月11日〜13日の3日間で少なくとも164件、他に50件程度は口頭で実施報告があった。合わせると全都道府県で少なくとも200件超の緊急アクションが実施された。

「7月11日大阪は約80人、7月12日川崎は約100人、7月12日吉祥寺は約100人、7月13日神戸は約100人、7月11日岡山は約40人などとかなり大人数が集まってリレースピーチしたものもあれば、2、3人で静かにプラカードを掲げて立っただけ、1人でカフェのテーブルに小さくプリントしたプラカードを置いただけ、など様々な態様がありました。同じ地域で同じメンバーで3日間のうち2回やった、というところもありました。また、大都市圏だけでなく、岩手県大船渡市、富山県朝日町、神奈川県開成町など、比較的小さな町でも、地元有志で集まって声をあげる様子もみられました」

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