【動画あり】困難女性支援法の「困難」②−2 野放しになっている買春者や性売買業者 その状況を変えることこそ必要 

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買春する男性やホストクラブのキャッチが、街になんでこれだけ多くいるの?

シリーズ困難女性支援法の「困難」。第2回では、「虐待」や「性搾取」の被害に遭いながらも支援から置き去りにされる若い女性たちに何ができるか、東京・新宿の歌舞伎町で少女たちに声をかけ伴走してきた一般社団法人Colaboの問いかけから考えました。

困難女性支援法が4月にスタートし、東京都は、若い女性の支援に力を入れていくとしています。Colabo代表の仁藤夢乃さんは、「行政がこうした課題に本気で取り組んでいくならば、少女たちを狙う買春者や性売買業者が野放しになっている状況を変えていくことが必要」と指摘します。

歌舞伎町はどんな状況になっているのか。まずは、こちらの動画(8分3秒)をご覧ください。

東京・歌舞伎町は、国内有数の繁華街。全国から未成年を含む若い女性たちが訪れていて、性搾取などの被害にあっています。日々、歌舞伎町で活動するColabo代表の仁藤夢乃さんはこう話します。

新宿の街を歩いていると、ホストクラブのキャッチ、買春者、性売買業者などが、少女たちに声をかけているのがわかります。「仕事を探していないか」「泊まるところあるの」「ラインを交換してくれたらPayPayで1000円あげるよ」などと言って近づいている。また少女たちがSNSで家に居たくないとか誰か泊めてほしいと書くと、わずか10分で数十人の男性たちが泊めてあげると声をかけてくる。その結果、性被害にあう女の子が本当に多くいます。女の子たちは、それまでSOSを出しても誰も助けてくれなかった状況にいるので、そうした声をかけてくる人たちを頼るしかないと思い込まされている。そして、よりマシな、より安全そうな選択肢を選ぼうとしているんですけれども、そもそも声かけてきている人たちが性搾取をしようとしているので、どれを選んでも被害にあってしまうといった状況です。(仁藤さん)

困難女性支援法が4月にスタートし、東京都は、「国内有数の繁華街を抱える東京においては、とりわけ、困難な問題を抱える若年女性への対応が課題」「民間団体と協働し、繁華街での巡回・声掛けやSNSを活用した相談等により、悪質なホストクラブでの被害にあっている女性も含め、困難な問題を抱えた若年女性を把握し、必要な支援につなげます」としています。

ここで、喫緊の課題となるのは、困難を抱える少女たちを狙う買春者や性売買業者側への対策、取り締まりや規制強化などでしょう。困難女性支援法がスタートした4月以降も、警視庁は、歌舞伎町で数回にわたって一斉補導を行っていますが、街では依然として、少女に声をかけるスカウトやホストクラブへ呼び込もうとするキャッチ、買春者の姿が多く見られます。Colaboが活動を通し推計するところによると、その数は「毎晩100人から200人」。問題の根っこの部分はそのままという状況です。

また、若い女性を支援する団体への攻撃も、放置してはならない問題です。Colaboは、2022年7月頃から始まった誹謗中傷のほか、頼んでいない商品を一方的に送りつけられる被害、仁藤さんへの殺害予告やレイプ予告、カフェに使うバスが刃物のようなもので傷つけられるなどの被害を受けました。また、2022年12月からは、バスカフェや街での声かけ活動の場で、直接の妨害を受けるようになりました。妨害者のなかには地方議員の姿も。その深刻さは、2022年3月、東京地方裁判所から男性たちに、接近や妨害活動を禁止する仮処分が出るほどでした。

Colaboの弁護団は、「今後支援が必要な女性たちがColaboとつながりにくくなってしまう懸念があります。誹謗中傷や嫌がらせ、妨害してくる人たちが、Colaboの事業の継続自体をやめさせよう、つぶそうとしているとしか思えない」と指摘。仁藤さんも、「被害にあっている少女たちの困難とか性搾取の問題に国や都が目を向けて法律にまでなった、そこに対する危機感をもっている人たちが、デマに便乗して攻撃してきていると感じている」と話します。

こうした状況に都はどのように対処していくのでしょうか。5月中旬、生活ニュースコモンズの取材に対して、若い女性の支援を担当する子供・子育て支援部育成支援課の担当者はー。

都の担当者
「都の中の関係部署や、その他、警察など関係機関と、何ができるかを協議しながら対応していきたい」

Q具体的にはどんなことに取り組んでいく?

都の担当者
「近々には思い当たるものはないが、関係する部門は複数あり、どういう課題があるかを注視しながらやっていきたい」

歌舞伎町で少女らに声をかけて歩くColaboに取材で同行しながら疑問に感じるのは、「そこで何が行われているか」を多くの人が知っているはずなのに、キャッチの男性や買春しようとする男性が、隠れたりコソコソしたりする様子なく存在していること。その男性らの横を、警察官が素通りする姿。また、街にかかるアナウンスが、「売春行為は違法です」「犯罪に巻き込まれないよう注意しましょう」など、被害を受ける側への呼びかけになっていることです。女性たちの被害を減らしていくためにまず必要なのは、女性たちを性搾取に追い込む側への対処です。そして売る側を処罰の対象とする一方、買う側には罰則がない売春防止法のありようも変えるべきでしょう。

仁藤さんは繰り返しこう指摘しています。

買う側を取り締まらなくてはいけないし、そういう状況に少女や女性たちが追い込まれている背景に目を向ける人がもっともっと増えていかなくてはいけない。(仁藤さん)

東京都の取り組みを今後も注視し、シリーズでお伝えしていきます。