前回に続いて、都議会での小池知事の姿勢について見ていきます。
今回取り上げるのは、6月4日の都議会本会議。「築地(市場)は守る」との自身の公約や、現在、都庁の下でNPO法人が行っている食料支援の列に800人もの人が並ぶ事態をどう受け止めるかなどが問われました。しかし、小池知事は答弁に立ちませんでした。
まずはこちらの動画(2分11秒)をご覧ください。
6月4日の都議会本会議の代表質問。2017年6月20日の会見で小池知事が「築地は守る、豊洲は活かす」と述べたことについて、共産党の米倉春奈都議はこう質しました。
築地は守る、市場機能を確保するという小池知事の約束、公約は、都が選んだ計画に影も形もありません。知事、公約違反の責任を政治家としてどう考えているのですか。築地再開発の検討経過は、都民共有の財産である都有地なのに非公開です。情報公開は知事の公約です。審査の全ての過程や計画の情報を、都民の前に全面的に明らかにすべきではありませんか(米倉都議の質疑)
”日本の台所”と呼ばれ、食文化の拠点でもあった築地市場は、2018年、豊洲への移転に伴って閉鎖されました。その1年前、小池知事は会見で「築地は守る」「市場機能は確保する」と説明していましたがー。
2024年4月、都は、築地市場跡地の再開発の事業予定者に、三井不動産を代表とする企業グループを選んだと発表。事業者が提案した計画では、約5万人収容のスタジアムを中心にホテルや国際会議施設などを配置することになっています。市場機能はありません。
こうしたことを受け、米倉都議は「”築地の市場機能は守る”との公約は、影も形もない」「公約違反」と指摘しました。しかし小池知事は答弁せず。谷崎馨一東京都技監が答えました。
また、「プロジェクションマッピングに巨額の予算を投じる一方、都庁の下でNPO法人が行っている食料支援には800人もの人が並んでいる、光を当てるところが違うとの批判の声を知事はどう受け止めるか」などの質問にも、小池知事は答弁せず、山口真福祉局長が答えました。
「質問に答えていない」と米倉都議はさらに問いましたが、小池知事から返ってきたのは「先ほど(局長らが)お答えしたとおり」でした。
米倉都議は生活ニュースコモンズの取材にこう話しました。
公約については他にも聞きましたが、どれに対しても知事は答弁せず担当局長が答えました。都民に対し約束したことについて自分で語らないのはあり得ません。私たちは都民の代表です。都民の声を受けて知事に質問をしているのにそれに答えないということは、都民を軽視していることでもあります。(米倉都議)
次回は、小池知事が答弁に立たなかった件数を集計、検証した立憲民主党の関口健太郎都議の質疑を取り上げます。「知事に厳しい質問をしたり耳障りの悪いことを言う議員には、知事は76%の確率で答弁拒否している」と指摘した関口都議。その後、都民ファーストの会や自民党、公明党から発言を「不穏当」とされ「発言の取り消しを求める動議」が出される事態になりました。その経緯についてもお伝えします。